酔っ払って変な時間に寝たため、深夜1時ごろ目が覚める。しばらくじたばたしたが、あきらめて起き、「サンデー」の仕事を。「イチオシ」は阿部菜穂子『チェリー・イングラム 日本の桜を救ったイギリス人』(岩波書店)。これは読みながら取ったメモが四枚になった。そのため、書評するのが難しかった。
届いた「雲遊天下」123号(特集「2016年に思うこと……」)。連載も含め、わりと隅々まで楽しく読んだ。届いた掲載誌や受贈誌をほとんど読まないぼくとしては珍しいことである。友部正人さん連載が、今回「大阪へやって来た」。すでに『ここが私の東京』は校了したが、これを読んでいたら、大阪行きの記述、ちょっと補足が必要だったかもと思う。「ほんやら洞」について、写真家の甲斐扶佐義さんが書いているが、考えたら、ぼくが京都取材で「ほんやら洞」へ行った時、対応してくれたのが甲斐さんだった。もう20年近く前の話だと思う。大塚まさじさんが「散髪」について書いているが、このところ大塚さんが散髪に行くのが、心斎橋「テキパキ」。女主人が一人でやる店で、エレベーターのないビル4Fにあるという。BGMはゴンチチ。いいなあ。
ナンダロウくんの連載は6ぺーじもあり、中川五郎さんと並び長い原稿。今回は昨年の「一箱古本市」がらみの旅暮らしとライター稼業の切ない話。身につまされます。昨年、ゲストとして参加したイベントが50回あり、そのほとんどが地方で開催されたもの。それを低予算で巡るため、十泊十一日なんて、過酷なツアーができあがる。すごいなあ。昨日、一緒に並んで古本を売った魚雷くんとともに、「スムース」のメンバー。ぼくは勝手に、彼らに強い同族意識を持っている。みんなで助け合いながら、がんばりたい。
CSでブレッソン少女ムシェット」を観る。例によって、少ないセリフ、装飾的音楽を排した、冷徹なカメラで、極貧の家に育つ少女の悲劇を追う。とにかくまったく笑わない少女が、唯一笑うのが、遊園地のバンピングカー。車同士をぶつけあいながら走り、回る。ある少年の車が、故意に(つまり気があって)ムシェットの車にぶつける。それを嫌がらず、好意として喜ぶ。これでもかと不幸のてんこ盛りの内容だけに、ここに救われる。二人にある思いが芽生えそうになるが、ろくでなしの父親にひっぱたかれて台無しだ。ラストシーンも、ちょっと見たことがないような演出だ。