午後、なんとか一本原稿を仕上げて送付。夕方、某所で「サンデー毎日」の取材。女優の大空真弓さんに話を聞く。これがすこぶる有益でおもしろかった。話の細部がいちいち生き生きと明瞭で、貴重な証言となっている。「大空真弓」という名の通りの女優人生だ。「時間ですよ」の話も勢いに乗じて聞く。ぼくがいちばん好きなのは、文学や音楽ではなく、むしろ芸能ではあるまいか、と思えた時間だった。話を聞いたホテルのラウンジは、低料金で、店員の応対もよく、穴場である。駅からも近く、どこでもいい、という指定のときはここを使おう。
電車の移動では、校條剛(めんじょう・つよし)『作家という病』を、ぐいぐい読む。著者はもと新潮社の文芸編集者。つきあいのあった作家とのやりとりをエピソード中心に回想する。よくある手、といえばそうだが、なんでこんなに面白いのだろう。辛辣な批評眼も光っている。いちばん面白かったのが、意外にも「山村美紗 女帝の時代」。知りたくない、つきあいたくない、まきこまれたくない流行作家の裏世界。華やかと言えばそうだが、どうしてそこまで無理をするのか。わけがわからない。地味に死にたいとつくづく思う。どうやら、そうなりそうだが。
帰り「音羽館」へ寄り、首にタオルを巻いた広瀬くんとコトバを交わす。三冊、買う。
10時までに、すでに十分ヨッパライながら、鈴木翁二『こくう物語』をしみじみと再読。これだ、これだよと思う。連作詩「風来坊」の元ネタなり。
小坂忠吉田美奈子+ティンパンの演奏。ええもん、見せてもらった。
https://youtu.be/smBiDRXkcs0