つめたい雨が雪に変わりつつある。刑務所の受刑者が高齢化し、まるで福祉施設のようになっているというレポートをテレビで見る。いたれりつくせりの介護と、同様の友人がいっぱいでき、シャバへ出ても、また数日で同じ罪(万引き、タクシーの無賃乗車)で戻ってくるという。世間の風はつめたく、塀のなかは暖かい。ぼくもいざとなれば……。
昨日は「ビッグイシュー」〆切。澁澤龍彦『私のプリニウス』を紹介。もとの『博物誌』は、大冊でとても読めない。シブサワ経由のプリニウスは、塀のなかのようにいたれりつくせり。
「サン毎」10本もなんとか夕方までに。「イチオシ」は、もちろんフランシス『強襲』。次作の邦訳が待ち遠しい。
あわてて仕度をして外出。「音羽館」に本を売り、お金とタイヤキをもらう。根津だったかの、行列のできるタイヤキ屋のものならん。「盛林堂」で若旦那とあれこれ打ち合わせ。大船に乗った気分。頼りにしています。
そして新宿へ。某老舗中華で、文春の編集者2人と古書現世・向井くんを交え、飲み会+打ち合わせ。文春の編集者は伝統なのか、社のしつけなのか、みんな品がよく紳士。うまくことが進めばいいが。
中華店へ行く途中、「昭友堂書店」が開いてるのを見て、均一に張り付く。ちゃんとエイギョウしているんだ。文庫・単行本が一冊100円と、4冊200円の二種類の均一。不思議な値段設定なり。若いカップルが楽しそうに本を見ていた。ぼくは何も買えず。
夜の新宿を路上にあふれ出した光を踏みしめ、帰途につく。新宿駅が近づくと、どんどん人が増えていく。みんなどこへ流れていくのか。