晴れた冬の日、仕事が一段落し、西部の「赤札」市、神田「書窓」展とはしご。「赤札」で、細川書店の本を買う。河上徹太郎ドン・ジョヴァンニ』限定70部のうちの69。河上徹太郎のサインと落款あり。函入り。それが500円+税、で出ていた。よほど手ひどい難があるのかと思ったが、元パラつきで、そんなに状態も悪くない。だまされたような気持ちで買う。細川書店の本が買えるとは思わなかった。家に帰って調べたら二重函、なのかな。それが、ぼくの買ったのは一重なのかな。それでも破格の安さだろう。しばらく、電車のなかでなでさする。
「書窓」では、また個人の肉筆日記を買う。昭和四年で、デザインもいい。ちょっと読むと記述は半分くらいで、どうも教師らしい。この時代のものにしては、字が楷書で読みやすい。恩師や知人の名がたくさん挙げてあって、著名人はいないかと探すが、どうも見当たらぬ。もう少し研究してみよう。「アムール」の均一が蹂躙され尽して、文庫は三分の一ぐらいしか残っていない。なにがあったのか。そうか、「アムール」は土日、文庫が4冊100円になるのか。なるほど。もう買えるものはさすがにない。文庫の解説目録がたくさん出ていた。こんなんでよく商売になるなと思うがなるんだろう。値付けをする手間がいらず、とにかく棚が空いたら、在庫を追加するだけ。あとは客が勝手に選んで、お金を払って帰っていく。自動販売機に近い販売方法だ。人件費や手間はないに等しい。勉強になります。「ぶらじる」へ寄って、竹内くんに「コクテイル・クリスマスライブ」のチラシを置かせてもらう。「ぶらじる」のコーヒーは、東京一うまい。西では京都「はなふさ」だと思う。うまいなあ、うまいなあと思いつつ、飲む。
帰り、西荻下車。「盛林堂」に少し追加。「2人古本市」の打ち合わせと、日下三蔵宅訪問の話を聞く。日下さん、これまで蔵書、ほとんど処分した経験ないという。「それはいかんやろう」と言うも、けっきょくは同病相哀れむの図なり。
電車のなかでは、関川夏央二葉亭四迷の明治四十一年』をじっくり再読。明治二十年代、二葉亭のいた官報局は、古川常一郎以下、役所の名にそむく「曲者」ぞろいの集りだったという。おもしろそうだなあ。「盛林堂」均一に中村光夫二葉亭四迷伝』函入りがあったので買う。これはいろんなバージョンあるなり。ぼくは講談社名著シリーズほか、持ってるはずだが、函入りは初めて買う。「音羽館」寄るも広瀬くん不在。「西友」でウイスキー一本買って帰還。