昨夜は雨中を有楽町、「オトパラ!」で「読書」(かつて村)という地名の話、『移動図書館ひまわり号』の話をする。最寄り駅まで戻ってバスを乗り逃がし、一年ぶり以上か、路地のジャズバー「韻」で一杯と思って立ち寄ったら閉まっていた。火曜定休か。
今朝は朝食取りがてら、日本映画専門チャンネルで田中重雄監督、大映「東京おにぎり娘」を楽しく観る。なんともひどいタイトルだと思ったが、大映オールキャストによる軽快な人情喜劇。若尾文子中村鴈治郎とくれば、小津「浮草」を思い出す。しかし、名前の扱いが、雁治郎のは小さすぎるのではないか。今なら考えられない。ほら、大河とかなら、えんえん一枚看板が続くでしょう。いつも、あれ、なんとかならないかと思っていた。この頃の映画のタイトルの出演者の並べ方は、おそろしくあっさりしている。まあ、いいか。
美しいカラーで昭和30年代の新橋、新宿西口の風景がたっぷり見られるのも、この映画の見どころ。新橋駅前場外馬券で雁治郎が赤鉛筆片手に競馬新聞と格闘するシーン。画面左に「ICHIOKU」というパチンコ屋が見える。じっさいにあったんだろうと思う。あと、「駐車禁止」の標識がいまと違う。「NO PARKING」の併記は、占領時代の名残か。雁治郎・若尾親子の住むテーラーは、「烏森神社の境内を失礼して」近道すると言うから、今の「古今亭」があるあたりの設定か。一度、歩いてみよう。
流行らないテーラーを改装して、若尾が「おにぎり屋」を始める。そのオープン、手伝いに来たジェリー藤尾が、友人3人から勘定を取る。3人で630円。千円札をふんだくって「あとはご祝儀ね」とジェリー。一人210円。当時、ラーメン一杯が50円。現在10数倍と物価換算して、どうだろう。一人3000円くらいか。ちょっと高い気がするが。
講談社文芸文庫尾崎一雄まぼろしの記』作歌案内(紅野敏郎)を読んでいたら、明治文学全集、尾崎一雄全集の担当編集者だった筑摩の瀬尾政記の名が出てくる。明治文学全集の「総索引」の完成直前、1988年に下咽頭腫瘍で死去する。52歳だったという。この名を頭に刻んでおこう。
恵比寿から渋谷へ行くバスらしい。こんど、乗ってみよう。