青柳いづみこさんのドビュッシーを聞きながら、朝の仕事。少し窓を開けたら、冷気が入って気持いい。寒いくらい。
昨日「城南展」で、坪内祐三編『禁酒宣言 上林暁・酒場小説集』ちくま文庫を200円で見つけ、かっさらう。本当にこの本、見なくなったなあ。酒場のカウンターに置かれた盛り切りのグラスの日本酒の写真もいい。このカバーを見ていると、「山の吊り橋ゃよおう〜」と口をついて出て、なんのことかと思ったら、そうか「山の吊り橋」という歌だ。よくよく見ると、すごい歌詞である。

しばらく「ゆーらゆら」というフレーズが頭にこびりついて、方々で口ずさんでしまいそう。
春日八郎にせよ、三橋美智也にせよ、農村の青年には農村の風景を、東京へ出てきた集団就職の青年たちには望郷の思いを、強く心に刻み、生きる火種を点した歌手たちだ。この歌の強さに、文学はかなわない。
雨のなか、小平中央図書館へ。視聴覚室で講演。この雨じゃあ、14〜15人集れば御の字と思ったが、どうしてどうして、広い会場がけっこう埋まった。図書友の会の方々の、地道な活動のたまものだろう。ぼくのネームバリューでは、とてもこれほど集るまい。十松くん始め、みどり文庫さんなど知り合いの顔も。九月に同じような講演をする三鷹中央図書館の担当者も見えて、挨拶。ますく堂の応援団みたいな男性も見えられた。
みなさん、熱心に聞いてくださって、おかげで何とか役目を無事終える。質問も活発だった。なかに、遥かにぼくより図書館の歴史について詳しい方がいて、あとで聞くと元大学の先生で書誌学が専門だとか。
終えて、公民館の喫茶コーナーで、友の会の方々と歓談。毎年楽しみな古本市の裏話をお聞きする。