小雨、寒い五月の始まり。立夏だというのに。連休も、あんまり関係ない日々を送っている。
草森紳一の連載二本(一本は絶筆となった)を収めた『その先は永代橋幻戯書房を読む。解説は平山周吉。このところ、よく名前を見る評論家。もちろん、小津映画の登場人物だから、ペンネームだろう。志賀直哉永代橋の関係についての指摘にうなる。永代橋を渡りたくなる。
安井かずみが住んだ、伝説の川口アパートメントが現存していることを知る。そうかあ、なんとなく、もうないんだと思っていたが。さっそく、近日中に永代橋と一緒に訪ねてみよう。
次のビッグイシュー本として、梨木香歩『村田絵フェンディ滞士録』角川文庫を買う。ヨムヨムの日々ながら、まだ読み始める余裕がない。山田洋次「二階の他人」を見始めるが、気の弱い小坂一也夫妻に同調して、どうしても先が見られない。2階を間借りして、家賃と食費をちっとも払わない平尾昌章(現・正晃)と関千恵子の図々しさがもたらす災厄に、胃が痛む。小坂は適役。ちょっと置いて、また挑戦して見てみたが、やっぱりダメだ。人が殺されるシーンの方がよほどいい。須賀不二男、高橋とよ、と小津組が出演しているのだが。
ご夫婦で、ミステリを中心に、ユニークな品揃えをされていた古書店「猫額洞」が5月10日をもって閉店されるそうです。
http://byogakudo.exblog.jp/21954128/
映画「私は猫ストーカー」にお店が登場するなど、いい記憶を残されたと思います。お近くの方も、かつて訪問された方も、名残を惜しみながら、駆けつけてあげてください。
5月11日、古書ほうろうで開かれると知った加藤千晶さんライブ、あわてて予約をメールで入れたら、返信で、不忍の一箱古本市初日で、ぼくが一位に選んだ「ほくろ堂」さんに、無事「岡崎武志賞」が手渡されたことを知る。ほかのプレゼンテーターと重なったり、授賞式に出席できなかったお店のことを考え、ベスト3ぐらいまで選んでおいたのだが、一位が「ほくろ堂」さんだった。賞品は、岡崎武志挿絵展図録表紙に肉筆彩色し、サインを入れたもの。いちおう、世界にただ一冊、であります。