okatake2014-04-10

保険証が見つかった。ほっとする。
こないだ京都へ行ったとき、善行堂にしばらくいたが、連日のように通う新大学生がいた。小林秀雄吉本隆明などを読んでいるという。「埴谷雄高はありますか」というのでびっくり。文庫より単行本で読む、という。ブログを見ると、ほかにも新しい顔の大学生が、続々と善行堂の門をくぐっているようだ。善行堂が一種、読書道場のようになっているのは、ぼくもしばらく帳場の椅子で観察していてわかった。
ぼくが人より遅れて大学へ入り、人より遅れて(しばらく同級生の下宿に居候をしていた)下宿を始めたとき、「さあ、読むぞ」と武者震いがしたのを覚えている。ぼくには善行堂のような指南者はなく、手探りで読書をしていたのだった。春は何かを始めるのにいい季節。春は新しい汗をかかせる、と中原中也は言った。保険証も見つかったことだし、今日はいちにち、仕事で汗をかかないと。
写真は、ぼくが京都で最初に下宿した通称「鳥小屋」。ほんとに、元鳥小屋だったのだ。