本日は晴天なり。「みちくさ」へ参戦。早く着いたつもりが、もう紅屋さんが同じブースで準備中。あいかわらず、手抜かりがない。今日は、とにかくトマソン社刊の「岡崎武志展」図録の初売りということで、それがメイン。20冊持っていったが、2時前には早々と完売。その後も、「図録、まだあります?」と何人も知り合いが訪ねてきて、これはしまった。
豆ちゃんが早くに、間に合わなかった付録の絵葉書を持参してくれた。ありがとう。この日驚いたのは、母親と一緒に来た、おそらく10~12歳くらいの男子が、熱心に、ぼくの出品した古本を眺め、手にとって差し出したのが、紀田順一郎氏の『私の神保町』。ええっ、本当にこれでいいの、とたじろぐ。うん、と首をタテに振って、「テレビ見ました」と言う。聞くと、「宮崎美子すずらん本屋堂」の、ぼくが大阪の古本屋を巡った回を見てくれたらしい。だって、キミ、小学生でしょう。あわてて800円つけていたのを500円に下げる。いや、タダであげてもよかったくらいだ。
ハニカミくんが高校生のとき、みちくさに来て、シブい本を買っていったときも、参加者一同驚いたものだが、今度はその最年少記録を破る少年が現れた。そして、そのハニカミくん、今は大学生が、「みちくさ」初出店。40冊近くを売り上げたそうで、初デビューとしてはかなりの成績。ぼくも、ドラマ化帯付き、旺文社文庫尾崎一雄『芳兵衛物語』を、ハニカミくんから買う。その意味がちゃんとわかっていて、どんな大学生やと思うが、驚かせてくれた小学生もありで、「みちくさ」が大変なことになっております。そのうち、この日も顔を見せてくれたノンちゃんの娘(ただいま一歳)が、そのうち、ハイハイしてやってきて「これ、くらちゃい」と小沼丹の文庫を買っていったりして。
お昼、どうしようかと思っていたら家族参加で顔見知りの「ぼちぼち堂」さんが、「おかざきさん、おいなりさん、作ってきたんだけど、食べます」と、おいしいおいなりさんとおかずを皿に持って、下さった。おかげで昼飯代が浮いた。ありがとうございました。そうそう、台湾から女性が日本の書店研究でやってきてて、中国語の堪能な日本人男性と連れ立って、わが店を訪れてくれた。付箋がいっぱい貼った中国語のホンは、日本の、あれは何だったんだろう、書店のガイドブックを持ってきていて、それにぼくが書いた一文も中国語に翻訳されて掲載されている。日本人男性の仲介でそんなことを知った。自分が書いたページにサインする。日中友好の、爪先ぐらいは役立ったろうか。
ちょっと怠けていたんだが、北方人さんも出店されているし、いろんな人に出会えるという一点で、やっぱりがんばって「みちくさ」には出ないとダメだなあ、と実感する。じつは、準備と、当日、電車を乗り継いで、現場へ行くだけでも、相当疲れるのだが。