さっき、ベッドのなかでぬくぬくと、スペンサーもの『真相』を読了。おしゃべりで格好つけの探偵は、またしても無料奉仕、しかも命を張って。しかも、依頼主は手を引き遠景へ。70年代のヒッピー、革命文化への言及(郷愁?)。これで、いよいよスペンサー・シリーズの読み残しもあとわずか。いま、国立「ブ」の105円棚に、このシリーズが30冊ぐらい並んでいる。ぼくは未読を2冊ここから抜いた。まだの方はどうぞ。『真相』には、ありがたいことに愛読者諸氏による「私のベストワン」アンケートが付録でついている。これ、いい。
カウントしてみたら、5票以上が『レイチェル・ウォレスを捜せ』(8票)、『初秋』(11票)、『ゴッドウルフの行方』(5票)。未読の方はここいらからどうぞ。批評家は概して、シリーズ後半から評価が冷淡になっていくようだ。ぼくは単なる読者だから、そんなことはない。どれも楽しい。どうも『初秋』が分水嶺のようですね。林家正蔵は「育児書みたいな『初秋』で、やや気持ちが離れた」とくさしている。川本三郎さんはその『初秋』を推し「ハードボイルド小説の隠し味は、失われたイノセンスへの郷愁だと思う」と評す。池上冬樹は『レイチェル』を推し、「スペンサーと充分に伍しうる『他者』が初めて登場した記念碑」と、なるほどと思える紹介をする。
古本病がぶりかえし、いろいろ買っている。「書窓展」2日目をのっそりと覗く。がちゃがちゃ3600円分買う。「あきつ」の200円本のレベルが高い。克書房さんも、「カツッ」と食い込む。持参した本を「スーパー源氏」岡崎棚に補充。20数冊追加したが、まだスカスカしている。「源氏」の店員さんたち、みな純情そうで、初々しく、顔を合わせるのが楽しい。
帰り、国立「ビブリオ」で、半世紀前の真空管のレコードプレイヤーで、「武蔵野タンポポ団」のアナログLPを、タンポポ団のシバさん、イサトさんたちと聞くという、なんだかすごい集りに参加。シバさん、イサトさんの口から、次々と中津川や、ぐぁらん堂での貴重な証言が飛び出す。録音しておくべきだったなあ。ゆるキャラみたいな顔した再生装置は、真空管が温まるまでは、雑音多く、すこぶる調子が悪いが、30分ほどたった頃からがぜん音がよくなる。だんぜんよくなる。モノラルなのだが、音の奥行きがすごい。低音もいい調子。「このベースは、マスミくん。はっぴいえんどの連中が、『こんなスゴいベースを(たんぽぽ団には)もったいない」みたいなことを言ったとシバさんがいう。ね、こんな話がバシバシ出てくるのだ。このマスミくんが、たんぽぽ団のギターすべてのチューニングを担当していたという。