じぇじぇじぇ! ぼんやりしていたら日記に空白ができた。
きのう、というよりもうおとといか、市ヶ谷へ。「will」編集部で、坂崎重盛さんと『粋人粋筆探訪』をめぐる対談。花田編集長もくわわる。終えて、坂崎さんのあとをくっついて、神楽坂の隠れ家みたいなバーで痛飲。『粋人』の版元、芸術新聞社Iさんを紹介される。のち、かつて神保町にあった文壇バー(ぼくは行ったことがないが有名)「人魚の嘆き」のママMさんが合流。深夜帰宅。
今日、ということはもう昨日、午前にニッポン放送。「誰だ!」という一時間番組の録りをする。灯台、青春、古本、上京について語る。あっというまに収録を終える。歩いて東京駅。ステーション・ギャラリーで「木村荘八展」を見る。油絵を見るのは初めてかも。100年近く前の絵なのに、きれい。赤がとくにきれい。
「さんずい墨東奇譚」挿絵の原画を食い入るように見る。洲之内徹コレクションからも二点ばかり出展されていた。ミュージアムショップに、世界の灯台を描いたトランプがあって、絵葉書3枚とともに買う。これはいいや。「週刊文春」の和田誠表紙も今週は「灯台」。
「ギンレイ」で、「別離」を見る。色気も洒落っ気もユーモアもない、なんとも重いテーマの映画で、ちょっと疲れた。気力が充実していないと、見るのがしんどい映画。
夜、宮益坂上の画廊喫茶「ウィリアム・モリス」で、間村俊一版下展。初日の打ち上げにも参加。平田俊子さん、平松洋子さんと席を近くにして、あれこれ喋る。平田さんも「灯台」には一家言あるらしく、いろいろ情報を得る。
ぼくにしては珍しい、多種多彩な二日であった。ちょっと散財しすぎて、後半連休はおとなしくしていよう。
届いた「エディターシップ」。小池三子男「河出書房風雲録・抄」、大月慎二「福武書店のころ」がめちゃくちゃおもしろい。編集者による体験的回顧録は、なぜこれほどおもしろいのか。河出書房は、だいたい十年ごとに危機が訪れる。97年の危機の直後に、綿矢りさが「インストール」で文藝賞を受賞し話題になる。ところが、その後二年近く次作が書けない。担当の高木れい子をせっつくと、もう10回以上、注文をつけて手直しをするやりとりをしているという。それでも、と言うと、「わかりました、あとひと月ください、そうしたらA賞を取ります。取れなかったら、私が責任を取ります」と言った。綿矢りさは、「蹴りたい背中」で、みごと芥川賞を取る。