okatake2012-12-12

書評委員を務める「信濃毎日新聞」書評欄の「今年の一冊」に、白井綾『長崎の教会』平凡社を選び、原稿を送付。
追悼の意味もこめて、このところ、丸谷さんの書いたもの、ところどころ読み返すんですが、対談集「おっとりと論じよう」に、勘三郎を関容子と一緒に囲んで語ったのがある。そうか、もし生きていたら、丸谷才一がおそらく勘三郎の追悼文を書いただろう、と読みながら思った。いろんなワイドショーなどの追悼を見ていると、「われこそが勘三郎のもっともよき理解者」と、人々に思わせる力、親和力が中村屋にはあったらしい。「サンデー毎日」連載の今週号コラムにも中野翠さんが、勘三郎との私的思い出を書いている。ただし、控えめな態度で。
丸谷の単行本未収録もあわせたミステリ論集『快楽としてのミステリー』(ちくま文庫)も、ちびちび読んでいて、こういう文庫の作り方はいいなあ。巻頭の向井敏瀬戸川猛資とのハヤカワ「ポケミス」に関する鼎談もおもしろい(三名とも鬼籍に入られた)。ここで言いたいことあるんだけど、またいつか。中公文庫は、和田誠カバーで『エホバの顔を避けて』を復刊すべし。解説は三浦雅士で。清水徹の旧解説もぜひ入れてもらいたい。それなら1000円近くになってもいいよ。