okatake2012-03-03

ビッグイシュー」に紹介するつもりで、メモを取りながら遠藤哲夫さんの『大衆食堂パラダイス!』ちくま文庫をガシガシと読んでいる。おもしろいなあ、いいなあ、文章うまいなあ、泣かせるなあ、詩人ですよエンテツさん、などと頭のなかでひとりごとを言いながら読む。無性に大衆食堂で、「とりあえずビール、それからポテトサラダとアジフライ」と注文したくなる。うちは家族で外食することが多いので、しかたなくファミレス系に行くが、まあ、うまいと思ったことありませんね、あの手のメニューで。なにか「ウソ」を喰ってる、という気持ちにいつもなるのだ。
たとえば、北九州「黒崎」の「エビス屋昼夜食堂」が二十四時間営業になったのは、客の都合から。「客に押され玉突きのような展開だが、客の期待に応える働きがあったから今日があるのだろう。食堂は、あるじと客の呼吸だ」なんて文章。過不足なくリズミカルで、表現の工夫がある。みごとな文章だ。
昨日「サンデー毎日」終え、神保町。コミガレ、古書会館と覗くが何も拾えず。不漁というより、こちらの問題が大きいが。と、思ってたら、蓮實重彦夏目漱石論』福武文庫を一冊買っていた。
このあと雨の六本木へ。いっしゅん、六本木へどう乗り継いで行けばいいのかさっぱりわからなくなる。日比谷線は難しい路線なり。新お茶まで歩いて千代田線、霞ヶ関乗り継ぎで六本木へ無事つく。マツモトキヨシで風邪薬のドリンク三本入りを買う。首筋がぞくぞくし、身体が重たい。
アマンド前でライターのIさんと待ち合わせ、夕刊紙の著者インタビューを受ける。ただ、「アマンド」は女子女子していたので「ルノアール」へ。一時間ばかり喋る。そうか、そこんところがわかってないのか、と古本について、かなり初歩まで遡って説明することになる。こういうこと喋り慣れているから、自動販売機みたいに押せば出てくるが、それでも疲れた。Iさんは筑摩のパーティで一度お目にかかっているから、うちとけて喋れた。一度会ってる、って大事なことですね。隣のテーブルにS社のカメラマンT氏がいて挨拶。そしたら、このあと「スイートベイジル」での「久世光彦七回忌ライブパーティ」で、またご一緒した。浜田真理子さんのピアノと歌、小泉今日子さんの朗読と進行で「マイ・ラスト・ソング」というライブショーがまずあって、そのあとビュッフェ形式のパーティの二部構成。朋子夫人が黒い着物姿で決め、みなさんに挨拶してまわっている。200名はいただろうか。ぼくは前から6、7席目といういい席で、すぐ目の前に直木賞作家の道尾秀介さん、坪内祐三さんと佐久間文子さん、松山巌さんなどがすぐ近く。ライブが終わって、各者席を離れて入り混じったところで、一ヵ所、ライブが終わった浜田、小泉組、美空ひばりの息子さん加藤和也さん、伝説の呼び屋・康さん、内田裕也さん、勘三郎さんと坪内さん、伊集院静さんなどが固まったエリアがあり、あまりの濃さにクラクラする。電圧が高まって、室内なのに雷が落ちそうであった。
ぼくも何人か、編集者の方達とおしゃべりし(新潮文庫庄司薫トレードの裏話もうかがう)、最後二階にいる脳天松屋くんのところへ。『テコちゃんの時間』を作ったフリーの編集者の女性を交え、少し喋り散会とともに家路へ。
地獄への一里塚のような地下深くもぐる都営地下鉄線で新宿へ。自宅最寄り駅までふらふらになりながら帰り、最終のバスに少し待てば乗れることがわかり、バスで帰宅。長い一日だった。 
この時期になると、だれが何と言おうと(だれも何にも言わないが)、この曲だ。アレンジも好き。石川鷹彦松任谷正隆林立夫などがバックで参加。ベースは後藤次利か。