「あの人がいた』から。イラストレーターの山下勇三。矢崎がプロデュースするテレビ番組に早崎治と出演。生番組だ。二人だけでは、と山下に好きな歌手を問うと、島倉千代子の名を挙げ、共演がかなう。ところが生番組の本番で、島倉との対談でリクエスト曲を山下が伝えて島倉が歌うというプランが、山下が緊張しすぎて固まってしまう。島倉が問うかたちで、勝手に「からたちの花」を選んで歌う。以下、引用。
「島倉さんの歌がはじまってからも、山下勇三はスタジオの天井のライトを睨んだまま身動きもしない。終わったとたんに、山下さんは手が折れるかと心配になるほどの拍手を打ち続けた。顔は真っ赤に紅潮している。後で島倉さんは『こんなすばらしい出会いは今までになかった』と語った。山下勇三の思いは伝わっていたのである」
 いい話だ。コトバに出さなくても通じる思いがあり。また、それを受け止める島倉千代子もすばらしい。
http://youtu.be/CJ_Z5W91fU8