昨日は長い一日。くにたちコショコショ市を「やぼろじ」で。ふだん、人通りのない路地が、阿波踊り始め、イベントがあって大にぎわい。露店でのコーヒー、チャイ販売は行列が途切れず。ただ、本は最初全く売れず、開始一時間半は、駄々猫さんが買ってくれた一冊だけ。駄々猫さんは、けっきょくサポーターとしてずっといてくれて、店番などもしてくれた。さんきゅう。
一時ぐらいから少し本が動き始め、最終的には一万円強の売上げ。自転車で行ったので交通費は要らず、まあまあか。ぼくの陣取ったスペースは、奥から「とみきち」「やまがら」「旅猫」、ぼく、「ジャングルブックス」「モンガ」と、コテコテの一座が。奥のイングリッシュガーデンで、おにぎり、豚汁、油揚げなどの販売があって、こちらも大盛況で。昼過ぎにおにぎりを買いに行ったら売り切れていた。旅猫も古本も含め、商品が魅力的なんだろうなあ、よく売れていた。おもいがけない客があったりして、楽しく半日を過ごす。うるわしきご夫婦「一箱」黄金コンビ「とみきち」さんで、蓮實重彦『映画崩壊前夜』を500円で買う。売残りの水準の高さと安さは随一。どうして、いつも、こんなにいい本だけを揃えられるのか、謎です。「一箱」の文士劇をするとしたら、「とみきち」ご夫妻で、『夫婦善哉』が見てみたい。そのときはぼくも脇役でいい味を出す役で出たい!
ゆず虎嘯と国立本店が、今回、粘り強く場所さがしを始めがんばった。古い屋敷に、庭付きの古民家と、これまでの「一箱」にはないロケーションが魅力。
いったん荷物を自宅へ運んで、すぐまた駅まで出て西荻へ。ひさしぶりの、有志による飲み会。ぼくは、晩鮭亭さん、北條くんとずっと喋っていた。落語の話をしたなあ。なぜ、このブログで談志の死について取り上げないか、北條くんから突っ込まれ、ううんと絶句。前にも書いたけど、談志に対するぼくの立場は微妙なんですよね。談志はもう教祖でしょう。認める奴だけついてくるがいい。また、ついてくる奴が、大絶賛しか認めないという空気が、どうにもイヤで。そんなことを言えば、枝雀にもそんな気味があった。極端なことを言うが、独演会だけで成立している噺家は、ペーパー名人で、ぼくは寄席で他流試合をしない芸人は認めない、とここで言っておきます。残り少ない人生、それで通していこうと思う。ああ、また寄席へ行きたくなってきた。ぼくは大衆演芸では、漫才と落語が大好きだが、それほどのもんかよ、落語、という気持ちもどこかで持っておきたい。ジャズもそうですよ。文学だってそうだ。
あ、そうそう。今月19日、高円寺「コクテイル」でのピッポさん、北條くんとのライブですけどね、北條くんは、久々に詩の新作を発表すると言っておりました。ここに書いて、プレッシャーを与えておこう。ぼくも、何か自分にプレッシャーになること、考えておきます。ピッポさんはどうかな。
ぼくは10時で引き揚げ、帰宅して仕事をしようと思ったが無理だった。6時に目覚ましをかけ、娘を学校に送り出し、原稿を一本書いて、さあ、また一日の始まりだ。
港の人から、四月と十月文庫の新刊、有山達也『装幀のなかの絵』をいただきました。有山さんは、雑誌「クウネル」「雲のうえ」、「川上弘美『ざらざら』、高山なおみ『じゃがいも料理』のデザイン装幀を手がける人気デザイナー。
坪内祐三『一九七二』も有山装幀で、デザインとしていかに決まるかまでが明かされている。気付かなかったが、あのシンプルな装幀、題字や著者名はリノリウム版画、だったんですね。たしかに、拡大した画像を見ると、削り残しが見える。
12月10日に青山ブックセンター本店で、有山さん、装画の牧野伊三夫さん、司会が大谷道子さんでトークショーが開かれるようです。
「蔵書の苦しみ」連載、光文社新書メルマガにアップされております。
コショコショ市に出品した、佐藤泉『漱石 片付かない〈近代〉』NHKライブラリーを、なぜか、今回、手にとる人が多かった。ふしぎ。ナニが引っかかったんだろう。一人、いまどきの若い女の子(人の目をじいっと見て喋るのでおじさんはドギマギ)が、やっぱりこれを手に取って、そのあと「三四郎」を手に。そこで、「漱石、好きなの?」と聞くと、会話が始まった。純文学で最初に読んだのが漱石の『こころ』で、『それから』も『三四郎』も読んだ。『門』がまだなんです、と言う。「『門』もいいよ。淋しい夫婦の話で」と言って、どう考えても二十代前半のこの娘にすすめるには、おかしなセールスだと思う。永井龍男『青梅雨』新潮文庫の改版されたのを、奨める。「これ、読んでみるといいよ」と。200円ついてたのを100円に負けて、押しつける。「ブ」で105円の仕入れだけど、読んでくれたらうれしい。
ようやく、『ゲット、バック「SUB」!』書評を送付。苦労しました。書評の難しさを改めて思う。
「あった、あった。」はうつみ宮土理カチンカチン体操』を書いて送ったら、夜電話が。「おかざきさん、これ、前に一度やっていますよ」。しまった! ちょっと、そんな予感があったのだが、なにしろ数百冊こなしてきているので、こんなミスが。あわてて、代替の本を探す。