途方にくれて

『少年少女昭和ミステリ美術館』という本が平凡社から出るようだ。モンガさんのブログで知った。森英俊野村宏平共著。おお、ミス古書の野村さんだ。アップされた写真を見ると、オールカラーで楽しくなる。これらは、いま、古書の世界で値段の張る分野の一つ。
http://www.green.dti.ne.jp/ed-fuji/heibon-showa-mystery.html
吉田篤弘さんの新刊『モナ・リザの背中』中央公論新社をいただきました。「絵の中に迷い込んだ男の不可思議な冒険奇譚 ユーモアと試みにあふれる最新長篇」と帯にあります。吉田さん、健筆です。
昨日、自転車でぶらぶら散歩。ひさしぶりに鷹の台周辺へ。「しんとん」でコーヒーを飲んでいたら、隣りの席に次々とご老人たちが集まり、大声で病気、病院の話をえんえん。微笑ましいとはいえない騒音に、たまらず店を出る。せっかく、黄色い電車を眺めながら、本を読み、くつろごうと思っていたのに。「みどり文庫」さんはお休み。気になっていた、今年五月で閉めた、松本清張さんの息子さんの書店、松明堂のあとに別の書店がそのまま居抜きで入っていた。よかった。ここに書店があるとなしとで、鷹の台の魅力はまったく違ってくる。夜、おやじカレーを作るつもりなので、書店の隣りの肉屋でコロッケ三つ買う。これ、冷めてもおいしいの。路地裏にカフェができていた。カフェの時代なり。
函館行きの航空機予約、函館空港を新千歳とまちがえて予約したこと、千歳の地を踏むことで納得はしたが、金銭的損失より、なぜ、こんなケアレスミスを繰り返すのか、という一点に、ゆううつになる。メールを遡ってみると、ちゃんと旅行会社から確認のメールが来ていて、それをちゃんと読めば、その時点で間違いに気付けば、まだなんとかなったのだ。その粗忽さ、危うさに、気持ちが重くなる。
午後、外出。晴天、風が涼しくて、山へ行きたくなる。西荻音羽館」へ新刊を処分し、鷲尾賢也、西岡文彦の、どちらも「編集」とタイトルにつく本を二冊。阿佐ヶ谷へ移動。「ラピュタ」で、「バナナ」を見るつもりで行ったら、昨日で終わっていた。こういうことですよ、粗忽ってことは。あきらめて、「コンコ堂」へ。均一で探していた本、一冊見つける。立松和平『途方にくれて』集英社は、立松の第一創作集だが、カバー絵が鈴木翁二だ。装幀は菊地信義(写真)。これが、なかなかなくて、ずっと探していた。「おお」と思いましたね。鈴木翁二のせつなく素晴らしい、ほんとうに素晴らしい青春画を、菊地信義がうまく処理している。レジにいたアマノくんには、「これ、中身はいらないんだけど」とは言ったが、中身も読むつもり。平澤成二『大正の雑誌記者』中央公論社も読みたかった一冊で、これは1000円。でも、安いはずだ。筑摩の小学生全集『原子の国のアリス』という本を見つけ、これも買う。500円。また、コンコ堂には、いま、フォークのいちばんいいところ、岡林からはっぴえんどまで、加川良五つの赤い風船遠藤賢司や、珍しいレコード(LP)がごそっと品出しされていて、500円から。うーん、とうなりながら、スタスタとひさしぶりにLPに触る。聞くと、アマノくんのコレクションの放出だという。長谷川きよしの一枚には、細野晴臣鈴木茂なども参加し、奮えるような一枚だが、いま、レコードを聞くには、装置はあるが、プレイヤーの上に積みあげた本をどけないと。しかし、全部買い占めたいほど、いいセレクションだった。アマノくん、ぼくと20歳以上違うはずだが、えらい趣味だ。
帰り、気まぐれに「今井書店」へ寄ってみる。10年どころじゃない、ほんとうにひさしぶり。店頭均一が1冊50円と30円。店内はきれいに整理されていて、あれ、けっこういい本あるなあ。しかも安い。松岡正剛の『フラジャイル』筑摩は、たしかに状態はよくないが、500円。これは、買います。
今日は、見どころ満載の「コンコ堂」へ寄ったおかげで、ちょっと元気が出てきた。アマノくん、ありがとう。