朝、TBS終えて、飯田橋。「ギンレイ」で1971年アメリカン・ニュー・シネマハル・アシュビーハロルドとモード」を見る。冒頭、階段を降りてくる男の靴、膝から下だけ移動するのが見えて、ローソクに火をともしたかと思ったら、椅子に上り、いきなり縄に首をかけて、首吊りをする。ショッキングな始まり。そこへ母親が入ってきて、「キャー」と大騒ぎするかと思ったら、一瞥して何もなかったように電話をかけ始める。「ハロルド、その手には乗りませんからね」みたいななことを言うが、この息子、自殺(のマネ)常習犯なのだ。他人の葬式に出席するのが趣味で、中古で霊柩車を買って乗り回す。家は大金持ちで、父親はいない。母親は体裁ばかり気をつかうし、心からの息子への愛情は薄いみたい。そこへ、同じく葬式に顔を出すのが趣味の、80間近の老婆モードが現れ、二人は意気投合していく。他人の車は平気でかっぱらい、ムチャな運転をするモード。電車の車両を改造した住居に住んでいる。そして、生気のない若者ハロルドに、「生きる歓び」を教えていく。ファニーでキュートな映画だ。
午後、「読書人」の仕事で、堀江敏幸さんと対談。佐藤泰志について、もっぱら、ぼくが堀江さんに話を聞く。ひごろ、著者インタビューなどをしているため、どうしてもそういうスタイルになってしまうのだ。しかし、さすがは堀江さんで、随所に鋭い知見と読みを示して、勉強になった。帰り、飯田橋で一緒に総武線に乗り、あれこれ喋りながら新宿で別れる。堀江さん、なんと、日本では本州以外に行ったことがない、という。北海道も四国も九州も知らない。おどろいた。