今月号「新刊展望」(6月号)が佐藤泰志特集で、巻頭4ページ「佐藤泰志は『いま』の作家だ」をぼくが書いています。佐藤の全著作を解説するもので、いや、これは時間もかかったし、苦労しました。興味がある方は、どこかの書店で手に入れてください。
昨晩は国立駅前「みちくさ」で200円で買った野口冨士男エッセイ集『時のきれはし』を読んでいた。(若くして)有能な作家や批評家が相ついで五人も六人も亡くなられた、という記述で名が挙がっているのが、澁澤龍彦(59)、磯田光一(56)、篠田一士(62)、色川武大(60)、阿部昭(54)。カッコ内はぼくが調べた享年。みな1987年から89年のあいだに亡くなっている。もっと、いろいろしたかったことはあるだろうが、しかし、仕事に不足があるとも思えない。充分、名前が残る、いい仕事を残している人ばかりだ。比べるのも本来おかしいが、それにくらべて自分は、怠けているなあと実感。
「yomyom」から、久し振りに仕事の依頼。うれしい。

今日はいい天気。西部古書会館(高円寺)「古本博覧会」へ。あずま通りでは青空市「本の五月祭」。古本博覧会、盛況で、ぼくは一時間遅れで行ったが、たくさん買った袋を下げた人が続々会場から出てくる。「国文学」を3冊、「ユリイカ」を3冊、そのほか諸々。いちばんの買い物は、水上瀧太郎『随筆集親馬鹿の記』昭和9年、改造社が、裸本だったが800円。クラフト・エヴィング商會『おかしな本棚』を見ていると、けっこう裸本があって、しかしそれはそれでいいたたずまいなので、裸本を見なおしたようなところがあったが、これもいい布表紙のいい本。
盛林堂さんが、ずいぶん安かったなあ、という印象。あとで近代ナリコさんに聞いたら、開場と同時に、盛林堂が出した100円本が、ごっそり売れたそうだ。スムース、スムース文庫、それに林哲夫さんの「読む人」の原画も出ていた。あ、ぼくの『詩集 風来坊』が1000円で出ているな、あとでサインを入れようと思っていたら、次に見たら売れていた。どこのどなたが買ってくださったんだろう。