不良中年詩人たち暴れる

okatake2011-04-13

この時期、やはりこれでしょう。

北尾トロ・下関マグロ共著の以下の本をいただいています。仲良しのお二人が、いかにしてライター稼業に踏み入れ、いかに生き抜いたか。同業者として興味津々であります。トロさんは、スキー雑誌のライターとして海外へも行っておるのね。かっちょいい。ぼくなど、派手なところまるっきりなしの低空飛行ライターだったから、こんな本、書けそうにないや。
http://www.amazon.co.jp/昭和が終わる頃、僕たちはライターになった

家族で外食がてら、昭島「ブ」へ。「太陽 特集・良寛のように生きたい」、それに詩集を二冊、季村敏夫『木端微塵』、中上哲夫『エルヴィスが死んだ日の夜』ともに書肆山田。ほか文庫と新書など。
帰り、途中で車を降りて、夜の散歩。そしたら月に数回しか着信のない携帯が鳴る。出ると、本庄ひろしさんだ。なんと、赤穂から大阪に移り住み、天神橋筋三丁目で飲み屋を始めたという。「繁盛亭がすぐ近く」らしい。これは行かねば。「いま、大西隆志くんが来とるんや。ちょっと代わるわ」「もしもし、岡崎さん。大西です」。なんと、なんと。大西さんはこの春、公務員を辞めて、古本屋を始める準備をしている。「出版もやりたいんや。第一発目はもう決めてます。阪本周三くんの本を出します」と言うではないか。阪本さんは、エディション・カイエという、それこそ一人出版社をしていて、黒瀬勝巳の詩集やあがた森魚のエッセイ集などを出していた詩人で、早逝されたのだ。本庄さんといい、大西さんといい、不良中年詩人が暴れている。うれしい。何かをやらずにいられない。そんな衝動が、日本中をかけめぐり、活気づいてくれますように。ぼくも、良寛なんて、言ってる場合じゃないかもしれない。
季村さんの詩集「木端微塵」の表題作は、どうやら阪神淡路大震災で倒壊した知人の家をうたった詩らしい。なかほどの一連を引く。
「樹木に潜んでいた精霊はどこに消えた/移動すること/起伏に従って力の続く限り自転車のペダルを踏むと/地形の悲しみが伝わり/再び生きていけるような気がした」
まさしくそのまま、東日本大震災の廃墟でもあてはまる作品だ。この詩集、写真は鬼海弘雄さんで、装幀は間村さんでした。