朝、めっぽう寒く、昼、めっぽう暖か。着ていく服に困るな。「和洋会」経由のサンデー毎日。「和洋会」でも、タテキンでもコミガレでも文省堂でも買った。こういうことも珍しい。飯田橋「ブ」でも買って、ぜんぶで十五冊。やれやれ。
「ギンレイ」で残りの一本、イラン映画彼女が消えた浜辺」、これがおもしろかったねえ。カスピ海の浜辺のリゾートで、複数の友人夫婦たちがバカンスに来て、楽しい三日になるはずだったが、災厄が待ち受けている。カーチェイスも、忍び寄る殺人者もない。それなのに緊張が持続して、最後の最後まで謎は観客に伏せたまま。最初、有名な俳優もいなくて、顔も誰が誰だかよくわからない。やたらに陽気でさわがしい。このまま2時間はつらいな、という展開だ。しかし、タイトル通り、若い女性が突如消える時から、画面の調子が一変する。溺れた子どもを助けるため海に入って消えたのか、それとも、元々一日の約束で来ていて(彼女は独身)、帰るのを無理に引き止められたけど、やっぱり帰ってしまったのか、残された者の疑心暗鬼が募り、疑惑、悔恨、怒り、利己心など、グループのあいだで亀裂が起こる。みな、善良だが、善良なだけに少し愚かで、ウソをつくことで収拾がつかなくなる。心理の揺れを追うだけでサスペンス効果を出す、その手際がいい。
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サンデー毎日」で不要の本を数冊もらい、山田順『出版大崩壊 電子書籍の罠』文春新書を読む。電子書籍の日本での受け入れ事情や、紙の本の将来について、すこぶる説明がわかりやすい。著者は、電子書籍幻想を否定し、「電子書籍はそもそも本ではない」と言う。これは「紙の本」の優位を説いているわけではない。日本の出版界も、紙の本に固執している(ぼくのようなロートル)も、わかっちゃないと言いたいのだ。「電子書籍が単なる紙の延長であるなら、読むときは紙のままでいいと思っている。それなのに、たとえば『ページめくり』や『見開きページ』などに、なぜ、多くの編集者がこだわり、紙の使い勝手をウェブの世界でも再現しようとするのだろうか」と言うあたりに、著者のスタンスがはっきり出ている。
「潮」編集部から書評依頼。なんでも引き受ける。毎日夕刊連載の「あった、あった。」は、四月中は再開のめどがたたない。月4回でしょう、けっこう損失が大きいのだ。