あんまり安過ぎて気味が悪くなる

okatake2010-04-11

昨日、午後、音羽館へ本を売って、均一でごちょごちょ買って高円寺へ。会館のほうから古本をしこたま詰め込んだ袋をさげた客が次々と歩いていく。これは買えるぞ、と興奮してくる。「古本博覧会」は西部の有志が運営する、いつもとはちょっと違うイベント性の高い古本即売会。知り合いの古本屋さんに挨拶し、なかへ入ると、初日午後でいきなり棚がガタガタになっている。うーん、もっと早く来るべきだったか。それでも一回りすると、あちこちに見どころがあり、ふだんの西部での即売会より3、4倍見応えがある。少し行っては立ち止り、立ち止りでいちいち血圧を上げていた。徳尾書店さんが雑誌フロク漫画中心に、おもしろいものをたくさん出している。昭和30年前後に出た「おもしろ漫画文庫」が500円パーで出ていて、うなる。『水戸黄門漫遊記』が正続2册1000円とバカ安。小学一年生フロクのかるた(800円)などを買う。盛林堂の若旦那が、春陽文庫を数百冊放出していて、こんなに大量の春陽文庫を見るのは初めてだ。今日出海『チョップ先生』を300円で。アジアンドックスさんの新潮社、滝口修造『幻想画家論』が400円と、気味が悪いくらい安い。線引きまくりで、乱丁があるのかと思って点検したらきれいなもんだ。気味が悪くなって買う。盛林堂さんの斎藤磯雄訳著『近代フランス詩集』新潮社、函入りが状態もよく500円。なんだか安過ぎて気味が悪くなって買う。地球が滅亡する日が来るのだろうか。
そうこうしているうちに、ガレージ部分でオグラさんのライブが始まる。なかで古本を買っているひとは黙殺。ライブを聴いているのは北條くん、魚雷くん、ノンちゃんなど知り合いばかり。これはいかん、とレジに本を預け、あわてて聴衆に加わる。吉田拓郎も新人時代、千葉のレコード店の店頭で、ビールケースの上に立ちプロモーションをしたと言うが、あそこでライブはちょっと無理ではなかろうか。
揚羽堂は、例によって本とも何とも言い難い、アナーキーな出品。昭和40年「平凡」フロクの『異性に好かれる交際法』200円は、表紙が山田太郎と西尾三枝子。西尾はのちの「プレイガール」だ。股旅堂では鈴木翁二『海のタッチ』500円を。翁二はぜんぶ読んでるつもりだったが、ここに未読の作品が数編入っていた。翁二が描く、高度成長期の地方の淋しい風景がすばらしいのだ。本書では「スワロー」が傑作。「ワンワンはねえドッグ」「風……?」「ああ…あれはねえ……スワロー」この最初の一ページで、もうゾクゾクっとくる。越川さん、映画にしてくれないだろうか。
4時からはピッポさんのライブもあったのだが、そこまで待てなくて、ピッポさんに「ごめんな」と謝って帰る。都丸均一で酒井寛『花森安治の仕事』朝日文庫100円、これもあんまり見ないなあ。