スカラ座で小津を

okatake2009-10-28

いかにも秋晴れの日。思い立って川越へ。ここに残る名画座(というより一度閉めることになったのを、若い人達がスタッフになって継続営業)「スカラ座」で小津安二郎の上映があるというので、行ったのだ。
川越は、以前から正月などに家族でよく訪れた町。時の鐘の入口から少しジグザグ路地を歩くと、戦前に建てられたような古い映画館があって、前から気になっていた。いちど、ここで映画を観たいな、と思っていたのだ。
この日は1時から「麦秋」と「秋刀魚の味」。どちらも10回近く観ている作品だが。表で「いらっしゃい」と声をかけているメガネの男性スタッフが客と話していたが、立ち見が出た日があるほど盛況らしい。30分前に着いたのが、いちおう、入場券を買って席を確保。これがよかった。たちまち満席となり、補助席、補助席、補助席と満杯になる。9割が60以上という異常に高い年齢層。ぼくなど若者だ。
これ「buku」に書こうと思うが、いやあ、幸せな映画空間だった。細部まで熟知しているのに、大いに笑い、心にしみいるような体験だった。行って、ほんとうによかった。
出ると、5時半なのにもう宵闇が迫っていて、日が落ちるのが早くなったことを実感する。
いろんな地方で、かろうじて残る古い映画館で、映画を観たくなった。
帰り、本川越「ブ」へ寄ったが、改装されてきれいになっていた。看板も黄色ではなくオレンジ。これは景観の条例か何かで改善命令が出たのではないか。
文庫数冊、単行本2冊(津村記久子『ポトスライムの舟』)、それにCD2枚「コルトレーン・タイム」「テテ・モントリュー/カタロニアン・ファイア」を。
秋刀魚の味」を観ると、必ずヒレカツが食べたくなるな。それと、佐田啓二岡田茉莉子が住む団地の最寄り駅が「石川台」だとはっきりわかった。

とてもきれいなチラシ「第1回神保町 スキマイチ」が送られてきました。10月30日から11月8日まで「平安工房」で開かれます。とてもすてきな家具や道具が即売されるそうです。どうも頭の悪いぼくには古本以外のことはうまく説明できない。
こちらをごらんください。
http://sukimaichi.exblog.jp/