庄野潤三死す

庄野潤三さん死去=家族小説書き続けた「第三の新人
 「静物」などの家族小説を通して日常の深淵(しんえん)に迫り、「第三の新人」として活躍した作家、庄野潤三(しょうの・じゅんぞう)さんが21日午前10時44分、老衰のため川崎市の自宅で死去した。88歳だった。大阪市出身。葬儀は近親者で行い、告別式は28日午後1時から川崎市多摩区南生田8の1の1の信行寺春秋苑で。喪主は妻千壽子(ちずこ)さん。
 九州帝大卒。海軍に入隊し、敗戦を伊豆半島の基地で迎えた。教職や放送局勤務の傍ら小説を書き、「プールサイド小景」で1955年に芥川賞を受賞。安岡章太郎さん、吉行淳之介さんらと共に戦後派に続く「第三の新人」と呼ばれた。
 初期の代表作「静物」(新潮社文学賞)で見せたように、平穏な生活の中に潜む危うさを描出する作風が評価された。その後、「夕べの雲」(読売文学賞)、「絵合せ」(野間文芸賞)、「明夫と良二」(赤い鳥文学賞毎日出版文化賞)など、自分の家族をモデルに作品を書き続けた。
 聞き書きの形で構成した「浮き燈台(とうだい)」「紺野機業場」「水の都」や、北米留学体験をつづった「ガンビア滞在記」、脳内出血後の記録「世をへだてて」など随想も多い。95年からも日常に材を取った長編シリーズを文芸誌に連載していた。
 父貞一さんは帝塚山学院の創設者。兄英二さんは児童文学者。78年に日本芸術院会員。(2009/09/22-22:07)


ぼくにとって、いちばん大切な作家が、ついに亡くなりました。
喪に服したいと思います。