こまったトンカツ屋

okatake2009-07-24

また雨か。それも変な雨で、家を出るとき傘いらず、駅についたら降り出して、中野では降っていない。
10時過ぎに五反田。西山卯三『住み方の記』文藝春秋新社はたいへんな名著で、いつかどこかで紹介したいと思っている。300円。山口瞳編『町』は日本の名随筆、作品社200円。目次を見ると、みごとなセレクションだ。小山清編『太宰治の手紙』河出新書200円、ジョルジュ・シムノン『ストリップ・ティーズ』集英社200円は宇野亜喜良装幀。荒川洋治編『文庫で読めない 昭和名作短編小説』新潮社も見るたび欲しくなる。200円。植草甚一『雨降りだからミステリーでも勉強しよう』晶文社も300円と安い。後藤明生『吉野大夫』中公文庫150円、カミ『エッフェル塔の潜水夫』講談社文庫200円はカバーが柳原良平だ。切り離していないメンコを200円で。これは「みちくさ市」でプレゼントに使おう。
神保町へ移動。ほんとは和洋会をさらっと見て、飯田橋へ移動、見逃した映画を一本「ギンレイ」で、とスケジュールをたてるが、神保町へ着いたら、なんだか急に疲れてしまった。老夫婦がやってるとんかつ屋で昼食と思ったが、昼時なのに、若いカップル以外、ぼくだけ。先に食べていたカップルの男に、とんかつおやじがあれこれウンチク、説教を垂れている。店には「本を読むな、しゃべるな、とんかつを味わって食え」みたいな張り紙がしてあるのに、おやじは客に喋る。しかも、カップルの男(大学生)がドイツに留学していたのか、ドイツの話になり、「ドイツっちゃあ、チョコレートだろ」と話をふる。カップル男は無言。おやじ「わかんない。バンホーテンってチョコレートの会社があるよ」。カップル男「あ、バンホーテンはオランダのはずですよ」。おやじ「えっ、そうかい」。なんだ、間違ってるじゃないか。そのあとも「近頃の大学生はダメ。金、金、金だろ」「うちには教授はよく来るよ、学生は来ない」。せっかくのトンカツがまずくなるよ。カウンターには、小さな虫が走り回っているし。カップルの男はいちおう愛想良く相手をしていたが、女性の方はあきらかに気分を害している。店を出た途端、ぜったい「なあに、あのじじい!」と彼氏に言ったはずだ。
なんだろうな、店もキタナイし。せっかく老夫婦でがんばっているんだから、イヤなことは書きたくないが、イヤな店だ。さっさと食べて、お金を払う段になって一万円札しかないことに気づく。「一万円しかないんですが、いいですか?」と聞くと、お婆さんのほうが「じゃあ、消費税をもらいますがいいですか?」と来た。「イヤだ」とは言えない。で、一万円を出したばっかりに消費税を取られてしまった。なんじゃあ、この店。
和洋会では水平書館の棚がガタガタになっていた。ぼくはおとなしく、前田愛樋口一葉の世界』平凡社ライブラリー200円、高岡幸雄『新聞横町』六月社500円、島田一男『中国大陸横断』徳間文庫100円。「新文」と「横町」と来ると欲しくなる。島田一男は、昭和初期、満州日報の記者をしていた。その回想が『中国大陸横断』。こんなものが徳間文庫から出ていたとは。
会場で黒岩比佐子さんを見つけ、お茶にさそう。そうなれば「カフェ・ヒナタ」だ。先日、このブログでライター稼業の愚痴を書いたら、黒岩さんが激しく反応してくれて、それがいろんなブログで話題になっていた。窓のそばの、二人席に窓に向かうかたちで並んで喋る。アイスコーヒーがバカうまだ。今年から読売新聞書評委員になった黒岩さんから、いろいろ話を聞く。キョンキョンとも喋ったそうだ。いいなあ。
雨が降ったり止んだりのなか、黒岩さんと別れ、御茶ノ水へ。「デ」でジャズのCDを3枚買う。プレステッジのモンクとソニー・ロリンズが組んだ盤、山下洋輔プレイ・ガーシュインオスカー・ピーターソンプレイ・ガーシュインの三枚。
帰り、音羽館へ寄るつもりが、乗った電車が特快で、乗り換えがめんどうでそのまま帰る。

明日はいよいよ「みちくさ市」。詳細は「旅猫雑貨店」HPをごらんください。天気、どうやらもちそうですね。
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