馬鹿馬鹿しさのまっただなかで犬死にしない方法

okatake2009-02-05

いま、この日誌のタイトルを眺めていて、最初の二文字が「OK」であることに気づいた。よっしゃ! これは天の配剤ならん。なにごとも「OK」で行けばいいんだ、と悟る。もちろん、悟ったあとでも、グジグジと悩み、逡巡し、衰えるのだけれど。それでも、このことは、心のどこか、片隅において、いつまでも忘れないでおこう。意外な発見だった。
昼前、家内と南大沢の「コストコ」ヘ。アメリカの大型スーパー。バカでかい倉庫のような店舗に、なんでも函ごと、ばかばかと積んである。ついていって、いつも、ああ失敗した。家にいればよかったな、という物欲の伏魔殿。大人が乗れそうな、大きなカートに、みんな狂ったように、商品を乗せている。9割は主婦。たぶん、これは物欲のディズニーランドで、奥様たちは、ここでどしどしと買うことで、ストレス発散しているんだ。しかし、ぼくは行くたびに疲れるし、なんだか、バカバカしいような気分になる。こんな物品の販売はぜったい間違っているし、どこか狂っている。バカだよ、みんな。買いたくもないものを、大量に買わされているんだ。異常に疲れ、へとへとになる。
不機嫌まるだしのぼくの顔を見て、「お父さんを慰めるのはブックオフしかない」と、帰り、堀之内と聖蹟桜ヶ丘の「ブ」へ寄る。前者で、『音楽王 細野晴臣物語』シンコーミュージック、半藤末利子『夏目家の福猫』新潮文庫を、後者で亀和田武『1963年のルイジアナ・ママ』徳間文庫を買う。これで315円。どうだい、まいったか!
『馬鹿馬鹿しさのまっただなかで、犬死にしない方法』というのが、庄司薫シリーズに出てくるが、いまこそ、庄司薫にこのタイトルで、新書を一冊書いてほしい。長生きなんか、けっしてしたくないが、犬死にはしたくないもんな。ご長寿芸能人ということで、先日、ワイドショーで、桂小金治藤村俊二京唄子が出ていたが、小金治は、ストレッチを毎日かかさずやっていて、取材者の目の前で、無理して腕立て伏せをやっていたが、かっこわるいことはやめてほしいもんだ。小金治のダメなところが、ファンフアーレが鳴るようにお披露目されていた。
その点、藤村俊二は、肺を切除したり、満身創痍ながら、平気でタバコを吸い、健康にいいことはなにもしていない、それが健康法だと言っていた。そうありたいものだ。本を読むだけの体力と視力さえあれば、あとはどうだっていいじゃないか。
アーヴィング『熊を放つ』上巻ほぼ読み終える。奇想をねじふせる、叙情とリアリズム。
ありふれた奇跡」五回目。はっきり言って、山田太一の問題認識は、2009年現在とずれていると思う。危ない橋を渡っているなあ。これは13回か。せめて半年、一年続くドラマなら、もう少し、隙間を埋めていけるのだが、いまはどんな連続ドラマでもワンクールが短い。やりつくせず、はしょってしまう。
それでも、立って信じる基盤が揺らいでないために、その愚直なまでの速球が、やっぱり魅力的に見えてしまう。だから、ぼくは見る。
もう少しつけくわえると、不倫に破れて落ち込む戸田恵子を、八千草薫ウイスキーの水割りを作って、ベッドに腰掛け慰めるシーンがある。わたしもあなたぐらいのときに落ち込んで、でもあなたと違って、原因は恋愛だった(じつは、戸田恵子も同じ)と語るシーン。ここがちょっと浮いてみえる。段取りっぽく見えるのだ。できすぎ、だろうと。