鎌倉から藤沢へ

okatake2009-01-20

青春18が一枚のこっていて、今日が期限。鎌倉へ行く。早朝の湘南新宿ライナーに乗り、大船止まり。そうか、大船で降りたことないよな、と降りる。かつて松竹撮影所のあったあたりを散策。小一時間歩く。
北鎌倉へ浄智寺から源氏山公園へのハイキングコースを歩く。さすが朝早いとあって、歩くはぼく一人。鶴岡八幡宮まで戻ってきて、近代美術館へ。初めてなり。1920、30年代の近代日本洋画の所蔵展をやっていて、これがみごたえがあった。古賀春江松本竣介、村山槐多など、いいものを持ってる。別館の「関合正明展」も見る、こっちはぼく一人。
平日、曇り、冬の日だというのに小町通りはすごい人人人。鎌倉駅改札からも、大量に人が吐き出される。藤沢へ。藤沢から江ノ島線鵠沼海岸下車。一昨年、響庵を訪ねて以来。あのときは古本屋を回れなかった。今回は、耕書堂、太虚堂、それに検索して見つけた「余白や」という古書・CD・喫茶という店へ行くことにする。「耕書堂」は駅からすぐ。瞠目すべき、かっちりした文芸書を整然と並べる優良店だった。これはおどろいた。均一に、後藤明生島村利正などがゴロゴロ転がっている。日付と新聞記事が貼付けてあるからだろうが、それにしても100円で後藤の『嘘のような日常』『八月/愚者の時間』の帯付き初版とは。まさか、この二冊だけ200円で、というわけにはいかない。店内もていねいに見て、織田作之助『世相/競馬』講談社文芸文庫500円を買う。レジにこの三冊を差し出したら、後藤明生100円は、よくわかっていて出したのだと店主との会話でわかる。「さすがにちょっと迷いましたが、店の中で売るわけにはいかない」ということだった。店内に音楽なし、ご店主はずっと本を読んでるというのも、ちかごろ珍しい店だ。太虚堂は閉まっていた。太虚堂の先を左へ、踏切をわたったところに、青い幌が見える。これが「余白や」。白い建物に青い幌ときれいな店だ。なかへ入ると、白髪まじり、髭、眼鏡のマスターが「岡崎サン」と。見ると、どこかで会った人。あれえ、どこでしたっけ? 「@@@の」と云われて、あああああ、とわかった。ぼくがかつてライターでかかわっていた雑誌の編集者Yさんだ。カイシャを辞めて、こんなことを始めたんです、という。おどろき、おどろき。ジャズをかけてもらいながら、コーヒーを飲み、いろいろ話をする。
http://www5.plala.or.jp/yohaku-ya/index.html
しかし、15年ぐらいぶりか。定年を待たずに、昨年の節分の日に始めたという。店内には、筋のいい文芸書、最近の現代小説、それにフランスのマンガ絵本(バンドシネ)が並んでいる。白を基調にした、なんとも趣味のいい内装。以前はカラオケ喫茶だったとか。あれこれ話がはずみ、また来ようと思う。藤沢へ来る楽しみができた。藤沢へ来れば「聖智文庫」さんだ。ひさしぶりに顔を出す。目録2号と別冊、二冊を準備中とかで、その原稿や、目録品など見せてもらう。「これは、岡崎サンに、これもどうぞ」と、入荷したばかりの文庫をたくさんもらってしまう。
ほんとうはこのあと、藤沢の古本屋巡りをして、平塚の「平塚温泉」という鉱泉を使った銭湯に入って帰るつもりだったが、さすがに疲れて帰る。