雑感

okatake2008-08-06

「枯葉」の入ったサラ・ヴォーンのCDを聞きながら。声を楽器のようにあやつる。
今日も雷。夕方、家族で郊外型大型ショッピングセンター二ヵ所で買物。京都行きが近づいているので、袋いっぱい衣類買う。アンティーク・ショップで、ブリキで作られたカメラマンの人形を買う。2300円。
西部邁『妻と僕 寓話と化す我らの死』飛鳥新社、書評用を読み継ぐが、頭にはいってこない。汗が噴き出る。
読売新聞、野生時代から、それぞれ文庫に関する取材依頼。後者は対談。
金子光晴『絶望の精神史』、雨で難渋する中央線のなかで読んでいたが、こんな箇所に目がとまる。
「野間先生にしろ、長谷川の老人にしろ、明治という時代が、ただ生きづらいというよりも、生きづらいということのしっかとした理由をもっていた人たちだ」
野間も長谷川も時代に合わない奇人、変人扱いされた人物だったが、この固有名詞に誰でもいい、あてはめて、明治を平成に置き換えれば、生きて行くすべが見えて来る。
あと田久保英夫『深い河/辻火』講談社文芸文庫も、高遠へ行く途中読んでいたが、「深い河」は芥川賞受賞作で、同時受賞があの庄司薫「赤頭巾ちゃん気をつけて』だった。
「深い河」は戦後文学の変種ともいうべき短編で、米軍の管理下、九州の厩舎で馬の世話をする男女の学生を描く。奇妙なアルバイト、閉鎖された世界、セックスの扱いなど、大江健三郎の初期作品とも通じる道具立て。そうだ、山川方夫と「三田文学」を編集していたんだ。山川の突然の死に動揺し、婚約者との結婚を延期した、と年譜で知る。時代の例にもれず、若い頃、肺結核を病んでいる。72歳で死去。早い死というだろうが、結核という地雷原を生き延びて、早いも遅いもあるもんか。70まで生きれば上等だよ。