『古本道場』ポプラ文庫、ふたたび

okatake2008-05-29

朝から雨。昨日は昼飯食べに外出した以外は、夜まで家にいて、仕事。学研新書の追い込みだ。
夜、国立駅改札で、河出書房新社の西口徹さんと待ち合わせ。いつも、ぼく好みの本を送ってくださったり、仕事を発注してくださったり、一度、お目にかかってお話をと言っていたのが実現した。いつも入る居酒屋、続いて、ジャズ・バー「ノー・トランクス」で3時間半ほど話す。西口さん、河出に移って10年、その前は、長らく青土社で「ユリイカ」の編集をなさっていた。80年代末から90年代にかけて、「ユリイカ」の奥付で、編集長として名前をよく見ていた。聞けば京都府の出身。先日の滝本さんといい、辺境(失礼!)から、逸材が現れる。西口さんとは、主に関西笑芸の話を。話しながら、自分はなんて、お笑いが好きなのだろうか、と再確認する。西口さんから、「ちんき堂戸川昌士さんの新刊『古本パンチ』をいただく。よく売れている、そうだ。いいタイトルだな。
これも昨日だったと思うが、NHKの昼過ぎのドキュメントで、神保町を若い俳優がガイドする番組をやっていて、そこに田村書店の奥平さんが登場。以後、奥平さんの行動をおって番組が作られる。古書交換会にもカメラが入り、本の買い取りにもくっついていく。田村書店の本にパラフィンがかかっているが、あれは夫人の手によるものだと知る。市では、上林暁の一括が二束あって、「今日は、これがどうしてもほしい」と奥平さんが札を入れる。6軒ぐらい、札が集まる人気商品だったが、田村書店が落とした。そんなところまで、詳細にカメラで映されたのは初めてではないか。興味深いものを見た。いつもは、店内には入らないから、田村書店の店内を見たのもひさしぶり。
で、昨日、消えちゃった『古本道場』ポプラ文庫のことだが、やっぱり少し書いておく。親本は2005年。あれからたった3年しかたっていないとは、にわかに信じられないほど、ずいぶん前のような気がする。とくに角田さんは、このあとすぐ直木賞を受賞して、もみくちゃになるから、ぼく以上にそう思われるのではないか。
文庫版には、角田さんの海外での古本屋巡りの原稿を増補し、ぼくも「古本道場 実践編」として、古本で買う文庫10冊のガイドを書き下ろした。これ、560円(本体)は安いよ。
デザインはセキユリヲさん、写真が徐美姫さん(文庫版でもカラー14Pの口絵写真がつく。澄ちゃん、写ってまっせ)、古本地図が浅生ハルミンさん。編集がポプラ社の女性お二人、矢内さんと鎌田さん。ここまでは単行本と同じで、そこに文庫版では、カバーイラストが得地直美さん、解説を石田千さん、と新たに女性が加わり、男性はぼく一人、という本になった。
石田さんの解説は、ぼくの文章に、教師経験をかぎあて、それが「文体の大きな柱となっている」と書いてくださった。続いて「岡崎さんは、教室ひとつぶんの視線をからだでうけとめた経験によって、知の自家中毒を避け、やわらかな均衡を得た」と。なんともありがたい指摘で、自分では気づかなかったことだった。「やわらかな均衡」とは、まさしくぼくが文章で目指していることで、その指摘もうれしかった。
講談社から辻原登さんの講談社文庫新刊『マノンの肉体』送られる。うれしい。
今日も仕事です。あたりまえか。では、では。