上野公園「東京都美術館講堂」にて

昨日誰かの子守唄聞いていた
女の子も恋の夢を見るの
昨日泣いてたあの子も母親になって
いつか子守唄を歌う
(「涙は明日に」北山修


昨晩、家族で中華を食べにいき(「バーミヤン」ですが)、帰って、9時には寝てしまう。それで今朝、5時に起きたら、まだ薄ぐらい。届いた朝日新聞を開いたら、文化欄に「文庫本も『ジャケ買い』」という記事で、ぼくがコメントを寄せている。そうか、そうでした。集英社文庫「全部を蒼井優にしてほしいくらい大賛成」と、恥ずかしいことを言っている。
昨日、上野公園「東京都美術館・講堂」で「読書の腕前」全国ツアーイベントの初日。上野公園は家族づれでたいへんな人だかり。上野公園へ来るのは、まだ4、5回ぐらいで、休日、こんなに人が来るとは思わなかった。
第一部が南陀楼綾繁さん、と豊崎由美さんを招いて鼎談、これが90分。そのあと一人で60分のトーク。鼎談の司会進行もぼくがやるので、なんだか大変だった。豊崎さん、初めてだったが、さすが勢いがあってドッカン、ドッカンと爆弾を投げていた。おかげで大いに盛り上がる。ぼくと南陀楼さんは食われて、たじたじ。それでも、南陀楼さん、一生懸命食い込んでくれて、なんとか形になる。ぼくは進行に手一杯という感じであった。豊崎さん、南陀楼さんに感謝。
3人の推薦本を挙げるコーナーで、もう時間がなくなり、ぼくはイーユン・リー『千年の祈り』をちらっと紹介して終るが、それを引き取って、豊崎さんが大プッシュ。おかげで、会場に用意した『千年の祈り』は売り切れたという。
続く60分のトークは、これまでに喋ったことのパッチワーク。会場に来た150名くらいの中に、見知った顔がいくつもあり、「また、同じ話だよ、ごめんな」と心で謝る。いつもやるトーク会場と違い、お客が遠く、反応が鈍いような気がする。無料とあって、途中退席する人もあって、どうも感じがつかめない。田中康夫『なんとなく、クリスタル』の時は大いに受けていた。ちょっとほっとする。これでネタが一つできた。
時間を勘違いし、15分よけいに喋ってしまい、カンペで「時間終了」を知らされ、あわてて終る。『読書の腕前』のサインも30名くらいにする。一番前の老婦人からは「森本毅郎さんの放送聞いています」と言われる。
終ってから、日大の学生に話しかけられ、急きょ卒論のための取材を申し込まれる。疲労はピークだったが、なんとか少し時間を作って「新書」について喋る。濡れ雑巾を絞り切るという感じ。
しかし、こんなことを続けていると、とても長生きはできぬとつくづく思う。
帰りは光文社新書森岡くんと、上野「風月堂」でお茶。森岡くんが大変なジャズ喫茶ファンであることを初めて知る。くげ沼海岸「響庵」に、わざわざ行ったというのだから。