笹沢左保『詩人の家』を買え

たいして書くことないんだよね。エルジャポンから依頼された、角田さんの『おやすみ、こわい夢を見ないように』をゲラで読んで書評するのを、午前中にやる。これは、そうとうおもしろい短編集だった。登場人物がなんらかのかたちで憎悪、殺意を抱いて生きていて、しかしホラーやミステリで処理せず、日常の生活のなかで、それが処理される。うまいんだよ、なにしろ。いまさら、ぼくが言うことじゃないけど。賞を取ったことは、角田さんにとって、非常によかったんだと思う。
あとは、四方田犬彦『「かわいい」論』ちくま新書を、TBS用にメモを取りながら読む。「かわいい」美学は日本特有のものだが、それがアニメなど商品化されることで、世界的に現象として発信されている。で、「かわいい」ってなんだ、という話を著者がする。
午後、ちょいと国立駅前まで。なにかあると国立へ逃げる。谷川ではここんところ、まったく何も買わない。今日も買わない。「いやあ、今日はたくさん売れました」なんて、ぼくにじゃなく、本を売りに来た常連の人に喋ってたけどね。
「ブ」では今日も単行本500円。でも、どうしてもってものはもう残ってないな。105円から三冊拾ったが、書くほどではない。あのさ、文春文庫の笹沢左保『詩人の家』を見つけたら買っておいたほうがいい。笹沢の父親は日本近代文学大辞典にも項目がある詩人で笹沢美明って、大学を出ても働かず、父(左保にとっては祖父)の財産を食いつぶす。それで家族は大変な目にあうわけだ。長兄は酒に溺れて事故死。そこいらを書いた自伝的小説だが、おもしろいに決まってる。ぼくは去年ようやく見つけたから、ここに安心して書く。五木寛之『風に吹かれて』集英社文庫はじつは、まだだ。
*追加
あのう、昨日書いた分のコメントを見てびっくり。晶文社の件ですが、あくまで風聞ですので、じゃあ、書くなよって話ですが、いやあ、弱ったなあ、かなり信憑性のある噂ということで、止めておいてもらえますか。よろしくお願いします。もう無理かな。やれやれ。