中河与一『ゴルフ』はうつくしい

月2回の社説をまとめる大仕事を終える。ぐったり。救急車の出動が急増、そのなかには、タクシー代わりに利用する人までいる、とか、西ナイル熱は鳥、蚊、人間と感染するので、全国の公園でカラスの死体を数えているなどという話題をかいつまんで紹介する。世の中、知らないことばかりだよ。
朝日ベストセラー快読は『震災時帰宅支援マップ』を書く。今週日曜日掲載だ。どうも、ぼくには変な本ばっか、回ってくるのな。そのほか、『新聞記者 司馬遼太郎』を読んでメモを取ったり、明大文化講座での講義のノートを作ったり、あれこれ働く。
息抜きに「太陽」の「本の宇宙誌」特集を見てたら、渡辺一考のページで、中河与一『ゴルフ』昭和書房・昭和9年の書影がカラーで出ていて、その美しさに目が止まる。デュフィの絵をあしらった函入りの本だ。中河与一は、名古屋古書会館で『愛恋無限』第一書房を買ったばかり。これも裸本だったが、美しい本。『ゴルフ』は見たことないが、いくらついてるんだろう。さっそく、中河与一で検索。数百点がバラバラと上がり、けっこう中河与一の需要があることがわかる。『ゴルフ』もひっかかって、中野書店が1万2600円をつけている。ううん。あきつ、中野、渥美などが中河の本をたくさん揃えている。大正11年『光る波』は、あきつが4万近くつけている。ううん、あきつったら(というフレーズもひさしぶり)。中河与一は昭和42年に角川から全集も出てんだな(全12巻)。これが2万5000円。読むだけなら、全集でかまわない。しかし、『ゴルフ』はいい本だ。中河は『天の夕顔』のみ知られているが、大正、昭和初期と、新感覚派の旗手だったのだ。ちょっと事典を調べたら、1994年まで生きていた。なんと97歳。新感覚派が97歳まで生きるとは。
CSで村松友視(視は旧字)の上海紀行を見てたら、横光利一『上海』が読みたくなって、読みはじめる。これも新感覚派の連想だな。