元気のないときは、子供のときのことを思い出せ

ちょいと、文庫の整理していたら(文庫の本棚、10本以上あるのだが、それでも入りきらない)、コーナーに積み重ねたなかに、宮本輝がごそっとあった。いつ買ったのだろう。一冊のなかに挾まれたメモでわかる。もう4、5年前、「旅」で大阪文学案内をしたとき、宮本輝を大阪文献として、まとめて買ったのだった。しかし、大阪の記述を追うのに熱心で、読んだこと忘れていた作品もある。『五千回の生死』はいい短編集だなあ。数編読みかえしただけだが、「力」に泣いた。
悪いことばかり重なり、呆然と公園のベンチでたたずむ男。老人に「元気のないときは、子供のときのことを思い出せ」と励まされる。なにぬかしてけつかる、って感じだが、男はやがて七歳の自分を思いだす。ここからがすばらしい。書きませんから、読んでくださいよ。じつはちょっと泣いてしまった。ぼくのウィークポイントめがけて、どかんとどやされたような作品。
夜、録画しておいた、マチャアキ&順司会の歌番組を見る。日本VS北朝鮮戦の裏番組。本郷直樹、黛じゅん、じゅんとネネなど、亡霊のような歌手がつぎつぎ出てきて歌う。ほとんど放送コードぎりぎり。しかし、司会は軽快。やはり楽しい。それでも3時間は長いなあ。1時間ぐらいで、もっと人選をしぼり、レギュラーでやってほしい。この録画は永久保存だ。
来週一週間は死のロード教育誌2本、北海道・産経新聞各書評、論座、インビテーション、中央公論、TBSと書評の仕事。サンデー毎日があるし、大人のウォーカー、毎日新聞で角田さんと取材を受ける仕事もある。今日はひたすら本を読む。ひたすら、だ。
それでも夕方、国立まで散歩。谷川で野見山暁治『署名のない風景』100円。「ブ」で高橋鐵『あぶ・らぶ』河出文庫を買う。