四月物語

昨夜、CSで岩井俊二四月物語』を見た。いまさらって、話だろうが、これがいいんだなあ。表立った派手なドラマはなく、しかし日常のなかの細かいドラマを、繊細に、美しい映像で追いかけていく。四月、北海道から上京してきた女子大生、松たか子。初めて一人暮らし。誰も知る人のない町、そして大学。しかし、新しい自転車を買って、新しく住む町を駆け巡る。これがいいんだなあ。クラス開きの自己紹介で、なんで、北海道からこの大学を選んだの?という質問に、どぎまぎして、うまく答えられない。友達の誘いを断ってまで、毎日のように、ある書店へ通う。それはなぜか。ねえ、そういうことだったんだよねえ。
これが一時間強の作品。二時間にすると、当然ながら、その先を描かないわけにはいかない。文体も変えなくちゃいけないだろう。一時間、というのがいいんだな。雨のシーンに出てくる加藤和彦がかっこいい。
今日は、田無へ、銀行の用事。通帳の変更など、本人でないといけないというので、いつもは妻にまかせっきりのところを、いっしょに出向く。大戸屋で昼食。これがちょうど食事どきで、席はいっぱいだし、やっと座ったと思ったら、今度は待たせるんだよ。30分近く待ったのじゃないか。もし一人だったら、完全に店を出ていたな。この世に、待ってまで食うものなどない、と思ってるから、待つのはイヤ。不味くても、待たないほうを取る主義ですたい。
それで、銀行の用事も終って、ちょいと近くの「ブ」へ参上。山尾三省詩集『ひろう葉帽子の下で』野草社、『続 佐々木幹郎詩集』思潮社、『室生犀星詩集』新潮文庫なぎら健壱『東京酒場漂流記』ちくま文庫、を拾う。なぜか詩集が多くなっちゃった。このあと、上々堂へ追加補充。あんまり売れてないように思えたが、店番のアヤさんが「よく売れてますよお」と言ってくれる。ぼくの手製の値段票を欲しがる客があるという。「そんなの、どんどんあげてください」。
山尾三省西荻のほびっと村を創設した一人で、詩人。屋久島に移り住んで、数年前、亡くなった。ちょうど、一昨日の朝、BSで「百の風景」屋久島の回のとき、名前がでてきた。で、詩なんだが、なんだかいろんなものがくっついて、ぼくはダメだな。読む前に、あらかじめ規制を受けている感じというか。感動する人は感動するだろうし、山尾の思想や行動に影響を受けている人は大勢いる。しかし、詩がこうつまんないとどうしようもないよ。どんなに生き方がすごかったって。ファンの人がいたらごめんなさい。ぼくは、ダメです。
夜、関口知宏の列島縦断、JR全線乗りつくしの旅、春編を見る。