あやしゅうこそものぐるほしけれ

6時に目覚ましかけ、起床。もう外は明るくなっている。夜が明けるのが早いな。朝食たべ、ポプラ社の念校をチェックする。角田さんのももう一度読み直し、自分の文章と齟齬がないか見る。まだ何カ所か、直すべきところ見つかる。うーん、こりゃきりないな。粗忽ゆえ、見落としも多いのだ。
11時に銀座。中央公論新社のTくんと待ち合わせ、教文館6F絵本児童書専門の「ナルニア」取材。担当の女性の話し、いろんな意味でおもしろかった。いま、中学生の感覚がいい、のだそうだ。高校になると分別がついてダメで、いろんな角度から、アンテナ張って食いついてくるのはむしろ中学生。そうかもしれない。中学生が読んでいる作家は、沢木耕太郎江國香織いしいしんじなど、大学生以上が読んでいるのと変わりない、という。中学生のレベルが上がって、大学生のレベルが落ちて、その差がなくなった。ちくまプリマー新書理論社の中学生向けシリーズなどはその線をついているわけだ。中学生と、おばちゃんに読まれないと、いま本は売れない。
Tくんにくっついて、中央公論新社を訪問。資料室で阿川弘之『なかよし特急』があれば、見せてもらいたいと頼んだのだ。ところが、新社になって、資料室の本や資料を大幅に移動したらしい。もと担当のFくんもいっしょに、地下の資料室を覗く。さして大きくない一室に移動式の本棚が10本ほどあるだけ。見るからに、昭和30年代の本はなさそう。いちおう見せてもらったが、やはりない。「ほんと、申し訳ないことですが、こんなありさまです」と謝られる。いや、べつに謝られるようなことではない。しかたない。
かつて中央公論の資料室は、国会図書館と相互リンクして、社員は国会図書館の本を10冊まで自由に取り寄せられたとのこと。私立図書館として機能していたほどの充実ぶりだったそうだ。まあ、しかたない。Tくんと寿司を食べて別れる。
サンデー毎日で仕事。春の移動で隣の席の桐山さんが、学芸部に移り、机がからっぽに。ちょっと寂しい。
ポプラ社からバイク便でゲラを取りにくる。いよいよ、『古本道場』完成が近づいてきた。編集者は最後の最後まで大変だけど。
ひさしぶりに帰りに西荻下車。以前約束していた「信愛書店」で、ちくま文庫6冊にサイン、絵を入れる。今回は関西お笑い人の似顔絵をかく。やすきよ、いとこい、紳竜、枝雀、松鶴レツゴー三匹。「音羽館」均一に、小学館「全線全駅鉄道の旅」シリーズがずらり並ぶ。東海道線以外は持っていない。ぜんぶ買おうかと思うが重たいので、『中央・上信越2100キロ』のみ買う。あと「ブルータス」バックナンバーからも「電車でGO!」(1998年9/1号)を買う。ブルータスが鉄道特集をやってるなんて、ああ知らなんだ、知らなんだ。
広瀬くんとあれこれ喋っていると、脇から「これ、持ってますか」と同人誌「ジライヤ」の「佐藤泰志追悼号」を取り出してみせる。もちろん、持っていない。「いくら?」と聞くと、「1500円」というので、「買った!」と答える。こういうときは、即買いしないとね。つい先日、大阪寝屋川の「ブ」で、佐藤の『海炭市叙景』を見つけ、ぼくは持ってるからと、山本に譲ったばかり。こういう偶然の連鎖を大事にしたい。巻頭、佐藤の親友だった福間健二が「国分寺」という詩を書いている。福間はこのとき国立市東に在住。佐藤は国分寺市内を転々としていた。この両住所は近い。詩のなかに本多二丁目、北町、並木町、戸倉、日吉町と、国分寺の町名が出てくる。ぼくがいつもうろつく町の名だ。「国分寺の北町か並木町には/牛のいる牧場がある/国分寺の牛を見に行こう」という一節がある。いまはいないと思うが、いてもおかしくない片鱗は残っている。
サンデー毎日、文庫のコラム、車谷長吉銭金について』朝日文庫(解説/坪内祐三)について書かねばならないが、いますでに10時で余力がない。神よ、力を与えたまえ。あ、それから5月8日のスムース友の会は、時間が変更になりました。くわしくは、スムースHPを見てね。