新年も6日もたてば、手垢がつき、淀んだ日常が戻ってくる。今年もあと360日を切った。
佐藤正午『鳩の撃退法』下巻をカバンに入れ、青春18三日目を使い、鎌倉の海を見に行く。小町通「芸林荘」店頭均一(なんと500円。2冊800円)で、意外に見ない十文字美信『ポケットに仏像』1を。デザインは太田「居酒屋」和彦さん。小雨が降ってきたのに、文庫均一が出しっ放しなので、店主に御注進。少しことばを交す。小町通から撤退した「木犀堂」さんは、ネットなどもしない由。しかし、ご店主は今でもときどき小町通を散策されておるとか。游古洞へも寄ったが、雨対策でおおわらわだったので、健在を確認し、江の電に乗り込む。極楽寺散策(「俺たちの朝」)も考えたが、風雨はげしくなり、車窓から海を眺めるのみにとどめる。白い波が打ち寄せる。さすがにサーファーはいない。
大船「ブ」へも寄る。半分は古着、楽器、家電などのリサイクル。途中にもリサイクルショップ数軒あり。大船はリサイクル都市ならん。しかし、古本部は買える本なし。楽器はギターが充実。わが愛機「ヤマハN−500」が、5万いくらかで評価されていた。これはおよそ30年以上前に、ぼくが買った値段に相当する。ほかのヤマハはぐんと安く、Nー500はひょっとして名機なりしか。
東京まで戻り、ずるずると一カ月以上ごぶさたの「ギンレイ」で、時間を調整して「チョコレートドーナツ」を見る。ゲイのカップルが劣悪な環境で育児放棄されたダウン症少年を引き取り、という話。ううむ、と解説を読んで、ためらったが、これは当たりであった。配役がみんなよく、みるみるまに映画に引き込まれ、100分近くがあっというまだった。だまされたと思ってごらんなさい。5回泣いた。
今年初の「オトパラ!」は、事前に送った段ボール一箱の歌本を前に、あれこれ喋る。雨が降ったのに、今日は暖かかった。弟から携帯に電話あり、なにごとならんと出ると、京都で仲間と飲みに行った店で働いている女性が、佐藤泰志の娘さんで、弟が経営しているバー「ディラン・セカンド」の常連だという。今年初め、いちばんいい話。
明日は大変な一日となる。覚悟しております。
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