味の招待席

わずか5分ほどの番組ながら、関西では高視聴率だった(トップ10に入るぐらい)のが、米朝師匠「味の招待席」。話芸の神髄。ぜったい、われわれの口に入らないような、料亭の料理を、いかにもうまそうに語る。これ、よく、みんなでマネしました。学食などの、手をかけぬ、まずい料理を、米朝師匠の口まねで解説するのだ。
「このコロッケ、冷凍のを、そのままざんぶと悪い油に投げ込みます。油は使い過ぎて真っ黒になって、ぷんと胸につく匂いをたててます。そのなかで、白い冷凍コロッケがのたうちまわる。そのあいだ、料理人は別の仕事をするんですな。朝、作って、あるいは昨日の残りをそのまま使ったつけあわせのスパゲッティを箸で皿によそう。これは茹でた細いうどんのようなスパゲティをケチャップで和えただけのものです。原価は2円か3円か。そんなものでしょう。次に、なるだけ悪い安い米で炊いたごはんを、落としても割れないようなプラスティックの椀に入れて、椀の縁で、しゃもじについたごはんをこそげ落とします。いかにもぞんざいなやり方ですなあ」
というふうに。
では、米朝師匠の至芸を。