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ペギー葉山「雲よ風よ空よ」
けっきょく、このへんの時代の歌が、いちばん胸にしみます。キャンプファイアーの木の脂がはぜて燃える匂いまでします。
映画「サラの鍵」をギンレイで見たが、1942年7月に起きた1万人以上のユダヤ人を一斉検挙し競技場に監禁した「ヴェルディヴ事件」が出てくる。この事件を取材する、現代の女性ジャーナリストがヒロインだが、編集部の若者に「ヴェルディブ」って、どんな綴り? と言われ愕然とする。記録が残っていないと言うと、若い男性カメラマンが、ナチスはどんなことも記録しているはずだ、と反論。ヒロインはそれに対して言う。「ドイツ人じゃないわ、検挙したのはフランス人なのよ」。このあたり、ぼくの認識は、フランスの若者たちと同レベル。映画では、競技場で数日、水も与えられず、トイレも行かせてもらえないユダヤ人たちの姿を描いている。排泄物があちこちにまき散らされ、その匂いはすさまじく、近くに住むアパートの住人は窓を開けられなかったと証言。収容所を脱走したサラをかくまう、農場の老夫婦がとてもよかった。