受贈書あれこれ。
蜂飼耳・菊地恭子絵『クリーニングのももやまです』理論社は、心優しきクリーニング屋のお兄さんも物語。
とんぼの本」から二冊。井上章一『京都洋館ウォッチング』、朽木ゆり子・前橋重二『フェルメール巡礼』。『京都』は、このところのぼくの、京都での関心と合致して、うれしい一冊。『フェルメール』は、どうしてこんなに人気があるのか、生涯30数枚の絵を残して貧乏で死んでいったデルフトの画家の絵を、さまざまな科学的見地から解明。
ほか、高峰秀子松山善三『旅は道づれ、アロハ・ハワイ』は中公文庫からの復刊。養女の斎藤明美さんによる強力な後衛からのプッシュによる。「芸術新潮」の高峰秀子特集もそうでしょう。
「ちくま」を見ると、ついに12月初め、坪内祐三『探訪記者 松崎天民筑摩書房が出る。松崎天民なんて言っても、いまどきの日本人は誰も知らないから、やっぱりこれは著者の名前、魅力で買わせる本だろう。筑摩書房らしい本だ。あと、三浦哲郎の未刊行長篇『流燈記』に堀江敏幸の解説をつけて年末に、これも筑摩から。
書評用に、北沢夏音『Get back,SUB!』本の雑誌社を読んでいるが、500ページ強の本で、しかも中身が濃いから、なかなかページを上げることができない。まだ130ページくらい。月末、ちょっと、いろいろ苦しくなってきた。毎年、何とかなっているから、何とかなるだろうと思うだけだ。
昨日、「信毎」書評、遅ればせながら和田誠『五・七・五交遊録』を送付。本には土井さん(トムズ)も出てくるんだ。うらやましい。いちばん気にいった俳句は、山口はるみ(はる女)の「ひと抱への薔薇をわたくしのために買ふ」。
雑誌「ステラ」からの依頼は、今年の三册みたいな簡単な原稿かと思ったら、一冊いっさつに細かい条件がついている。三冊選んだときには知らなかった。急きょ、だったから。工夫しようという企画の意図はわかるが、あんまり条件をつけすぎると、書くほうはひどくやりにくくなる。余裕があるときだったらいいんだが、つじつまを合わせるため、頭から湯気が出た。
「ちくま」12月号の佐野眞一「テレビ幻魔館 蓋棺録'11」で、今年物故した著名人をずらり並べてコメントしてある原稿を読むと感慨がある。一年ふりかえると、なるほど多くの人が亡くなったのだと気付かされるのだ。ただ、小林信彦の文章を読んでいて(比べるのも変だが)、佐野の芸能に関するそれを読むと、ひどく薄く、誰でも言える床屋政談のレベルであることがわかる。