梅雨のあいまに晴れだった

okatake2010-07-08

梅雨の合間の晴れ。昼、「赤旗」の取材を受けるため、東京堂前で待っていると畠中さんが現れ、手渡したいものがあると言う。大阪・中崎町の古本屋「青空書房」主人、さかもとけんいちさんが書いた文集『浪華の古本屋 ぎっこんばったん』SICで、これはうれしい。戦後の闇市で、戸板に本を並べて売るところから始めたお店で、少年時代の筒井康隆が通った店としても知られる。戦後まもない天満周辺の回想もあり、昭和30年代をここで過ごしたぼくとしては、そういう意味でも読みたくなる。「青空書房」の均一には、店主が並んだ本の著者へのお詫びが書いた札が貼ってあるのだ。珍しいですよ。
畠中さん、貴重な本、ありがとう。
赤旗」は、上半期ベスト3の取材。深く考えず、『おべんとうの時間』『レンブラントの帽子』『古書の森逍遥』を挙げる。一日早まった「サンデー毎日」の仕事を片づけ、また神保町へ。コミガレでひさしぶりに6冊買う。『ジャズ批評』は一時期、揃えていたが、ある時手放した。今日、「ソニー・ロリンズ特集」を見つけ、やっぱり買う。別冊宝島「東京の正体!」ほか、単行本。
彷書月刊」編集部に立寄り、あれこれ話す。経営的にかなり大変らしく、いま編集部を支えているお二人、よく我慢してがんばっているなあ、と思う。残りの二回、連載で何をするとかなどと話してくる。
いい天気だし、そのまま丸ノ内線で池袋。歩いて「ポポタム」へ。あの喧噪の池袋駅周辺から少し足を伸ばせば、ちょっと不思議なほど閑静な住宅街が広がる。『山手・下町散歩』地図を片手にくねくねと路地を、方角をまちがえないように、上り屋敷公園が見えたらもうすぐ。うわさの、武藤良子さんの個展を見る。缶ビールをごちそうになりながら、あれこれ勝手な感想を言う。オイルパステルという材料が持つ可能性をおしひろげるような、自由で豊かなイマジネーションの絵だと思う。絵を前にすると、武藤さんはとっても健気で謙虚でまじめなアーティストだ。宮地くん、橋本くんも時をおかずやってくる。
家に帰ると、月の輪に注文した二点のうち、一点が当って送られてきていた。徳永直『失業都市東京』昭和5年、中央公論社。これ、薄い函つきなら、ちょっとぼくでは買えない金額で、函無し(ただし、状態はいい)だから二千円ちょっとで買えた。ほれぼれするデザインだ。
川本三郎さんから「週刊現代」に掲載中の『いまも、君を想う』書評に対する、ていねいな礼状をもらう。うれしい。今日、宮地くんと川本さんの話をしたばかり。朝日の夕刊に、その『いまも、君を想う』の著者インタビューが掲載されていた。聞き手は佐久間文子さん。これもいい記事だった。