ささまは快食快便の店なり

昨夜あれから、TBSの放送原稿と、朝日新聞ベストセラー快読」の原稿を書く。しばらく脳内に興奮のドーパミンが発生し、ベッドに入ってからも寝付かれない。いきなり禁を破って、ウイスキー水割りを一杯作って飲む。ただし、つまみはなし。それで、今朝起きたら9時半だった。昼飯(そば)を食べて、サンデー毎日へ。二週続けて、「戦争特集」ということで、戦争を扱った本だけを10冊取り上げ、書評する。同じテーマということで、流れが生まれ、これが意外におもしろく、楽に仕事が片付いた。
考えていたより、少し早く終ったので、荻窪「ささま」詣で。店内1冊、均一で9冊買う。これでも抑えたほうで、少し基準をバンドの穴を一つ緩めるように甘くすれば、たちまちこの倍は買ってしまう。とにかく、店内は厳選で、そのほかはすべて放出するから、他店で1000円ぐらいついてる本でも、どんどん105円に落ちる。そしてどんどん売れていく。入れては出す、入れては出すで、便秘がない。「ささま」は快食快便の店なのだ。もういいかな、これぐらいほめれば、野村くん。
で、『中央・上越440駅』小学館は鉄道もの。この夏も青春18きっぷで行くからね。現代詩手帖「プレヴェール特集号」、朝吹登水子ボーヴォワールサガン読売新聞社もあまり見ないや。チェペック『犬と猫』恒文社と、ニキ・アンダーソン『猫はなんでも知っている』筑摩書房はネコ本。澁澤敬一『ダンナさまマーケットに行く』暮しの手帖社も、花森安治装幀で人気の高い本。シガークラブが出したプレミア本で『装われた野生』は、佐伯誠さんが著者。箱入り、布表紙の簡素ながらじつに気のきいた造りの本で、どうかして、こういう本を一冊持ちたいものだ。1965年4月号『文芸』は細江英公写真の三島由紀夫表紙。巻頭が岡本太郎全学連ルポ、続いて三島の戯曲「サド侯爵夫人」、そのほか池田満寿夫富岡多恵子のニューヨーク通信(当時、夫婦だった)など盛り沢山。カラーページのイラストは真鍋博で、編集長は寺田博なのだが、小島功の漫画があったり、どうやら、このころの「文芸」は、中間小説雑誌と文芸誌と総合誌をまぜたような存在だったようだ。
それから岩波書店の少年少女文学のウィリアム・メイン『砂』を買ったのは、「図書」の連載で、堀江敏幸さんが書いていた記憶があるからだ。砂丘に埋もれた化石を、少年たちがただひたすら掘り出すというストーリー。これが、どうもおもしろそうなの。
店内では、いくつかチェックする本があったが、そのうち、メモしておいた探求書の、ラリサ・ライスナー『ヨーロッパ革命の前線から』平凡社がいきなり見つかった。「ささま」では、こういうドンピシャの出合いがよくある。探している本が見つかる確率が非常に高いのだ。思わずレジで「探してた本がいきなりあったよ」と言ってしまう。微笑ましい光景だね。しかも525円。
帰宅したら、心優しき巨人詩人の阿瀧康くんから郵便物が。なかを開けたら、青猫書房の古い目録と、雑誌「ふるほんや」の束。これは資料になる。阿瀧くん、ありがとう。夜は、連夜の「スター・ウォーズ」見物。デジタルマスタリングで画像が格段にきれいになってる。しかし、レイヤ姫の女優、それほどの美女とは思えないが。