「親子丼珍道中」珍道中

okatake2010-04-27

相対性理論」はよく聞いていて、「わたしもうやめた 世界征服やめた」とか「がっきゅう 学級崩壊進行中」とか、気づいたら歩きながら鼻歌でうたっている。危ないなあ。
朝はやくめざめて、おもしろい夢を断続的に見て、これは書き取らないとと思って、うつらうつらしてたら忘れてしまった。
著食後、図書館で調べものをとサンポをかねて外出。畑や雑木林のある道(佐藤泰志の自殺したのがこのあたり)を歩いていたら、コミュニティバスがのろのろやってきて、発作的に飛び乗る。初めて乗る。国分寺市役所から西国分寺駅へ巡る。篠田三郎朗読の志賀直哉を聞きながら。西国分寺駅について、ここでまた中央線に乗り込んだところで、発作的に昭島まで。まるで寅さんだよ。つい先日オープンした昭島「ブ」へ。駅からけっこう歩く。大型ショッピングモールや、郊外型の電気店、飲食店、そして団地と、いちいちスケールが大きく、遠近法がゆがむ。いつまでたっても目的地にたどりつけない。疲れるサンポだ。
「ブ」では文庫数冊。田山花袋『蒲団』新潮文庫の改版を買う。最初読むと、いきなり坂から始まるじゃないか。そして、ビデオコーナーをちらっと見ると、「遠くへ行きたい」が4、5本、550円で出ていて、ああっ、伊丹十三「親子丼珍道中」が収録された巻がある。つい先日、おとといか、北條君と伊丹十三のことを話していて、この回がおもしろいんだよと言っていたところだった(ね、北條くん、ぼくってすごい?)。もちろん買う。二回が一巻になっていて、もう一つはなんと、「遠くへ行きたい」の第一回。永六輔石川啄木ゆかりの盛岡を訪ねる。これが1970年10月4日。伊丹のが1971年4月11日。「親子丼」はどんな話かと言えば、映画監督・山本嘉次郎が昨今の親子丼に憤っている。こんなの親子じゃなえ、ってわけだ。じつは親子丼を日本で発明したのが山本のお父さんだという。怒る権利がある。そこで伊丹十三が、それじゃあひとつ、山本先生に日本一の食材を用意して、日本一の親子丼を食べてもらおうじゃないの、と旅に出る。和歌山へ醤油を、熊本へ米を、有明に海苔を求め……とその道中を延々写すわけだが、途中、伊丹の才気を表す場面がインサートされる。そして、それらすべての食材を抱えて、やまかじさんの家へ行き、台所を借りて、伊丹みずからが日本一の親子丼を作る。さて、結果は? いやあ、伊丹の映画の数十倍おもしろいの。これ、次回の「ネギシアター」で見ましょう。
駅まで戻ったところで、珍しく携帯に着信あり。仕事の話。「1Q84」3の出そろった書評を読み、寸評するというもの。引き受ける。連休中、けっこう長めの、力の入る原稿がこれで数本。遊んじゃいられません。
そうそう、昭島「ブ」で、重松清/長谷川集平画『エイジ』朝日新聞社を買いました。これ、新聞連載時の挿絵をすべて収録したもの。41回だったからこんなステキな本にできたんだ。でも、こういう試みをもっとしてほしいですね。単行本は大幅加筆されたらしいが、本文も連載時そのままらしく、その点でも貴重だ。版元品切れ中。あんまり見ないですよ。