今日は雨。昨日は長い一日。午後、雨の中うごきだし、本当にひさびさ「ギンレイ」で「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」(石井「舟を編む」裕也監督)を見る。おもしろい映画だった。川本三郎さんが褒めてらして、これは、とでかけたのであった。主演の石橋静河は、初めて見る女優だったが、そうか石橋凌原田美枝子の次女か。池松壮亮(片目を失明の日雇い労働者という役)は、「横道世之介」で、おもしろい演技をする役者だなあ、と思っていた。夜の渋谷周辺の街がよく映る。歩道橋もよく出てくる。自転車と歩きでの移動だ。地下鉄での移動も、たしかなかったと思う。このラインの青春映画では欠かせないセックスシーンもない。不思議なタイトルは、注目の現代詩人・最果(さいはて)タヒの詩集による。
「サン毎」で本えらび。同じフロアに「エコノミスト」編集部があり、この春で退職するHくんに挨拶。代わりに入った、同じくHくんは知り合い。もう詰めて、仕事をしていた。地下鉄で移動。麻布十番の酒場「十番」で待ち合わせ。脳天くん、散歩堂さん、金丸姐さんと、退院した散歩堂さんの快気祝い、および、9時半スタートという「マイ・ラスト・ソング」(TOKYO Billboard)まで、時間つぶしをする。散歩堂さん、杖をついているが、普通に早く歩ける。この日がアルコール解禁。落語に詳しいメンバーなので、自然、落語の話に。「志ん生」襲名の噂あり、の報に大いに驚く。
「マイ・ラスト・ソング」は、亡き久世光彦の同名エッセイシリーズから、文章を小泉今日子が朗読して、選んだ歌を浜田真理子がピアノで歌うという趣向のライブで、一昨年も三越劇場で、同じ四人組で見た。麻布十番から外苑東通りへ出て、大きくカーブ、芋洗坂をえっちらおっちら上っていく。いつも見慣れたのとは違う風景の東京。六本木交差点アマンドの前を渡り、東京ミッドタウンという、伏魔殿みたいな巨大な商業施設へ。ここはもと歩兵連隊があった場所。この4階に「TOKYO Billboard」がある。ゴージャス。舞台がよく見えるエリアの四人席を朋子さんが押さえてくれて、一人9000円は痛い出費であるが、しかし、この場所、この空間と時間にはお値打ちがある。ワインを一本取って、四人で飲みながら、楽しい時間を過ごす。浜田真理子の歌唱した歌を書いておこう
赤い風船、林檎殺人事件、月の砂漠、雲にのりたい、一本のえんぴつ、爪、ひとりじゃないの、あの鐘を鳴らすのはあなた、時の過ぎゆくままに、君をのせて。アンコールで二曲。UFO、街の灯り。以上12曲。最後、ステージ背後のカーテンが開き、夜の六本木のビル街の夜景を一望する演出。
日付が変わり、最寄り駅から長蛇の列に並んでタクシーで帰還。並んでいる後ろに、ぐでんぐでんの老人三人組がふらふらしながら大きな声で喋っている。「うちへ泊まれ」とか「明日はゴルフだ」などと。どれだけ飲めば、あんなにぐでんぐでんになれるのか。