今年、御年90の小沢信男さんの出版ラッシュが続く。昨年末、岩波新書から『俳句世がたり』が出たばかり、と思ったら、今年に入って筑摩から『私のつづり方』、ちくま文庫『ぼくの東京全集』を連発だ。『ぼくの』はいいアイデアで、東京について描き続けた東京っ子の小沢さんの文業から、小説、紀行文、エッセイ、評伝、書評、詩、俳句と東京の出てくるものを集めた。冨田均氏で、同様のことをできないか、とここに書いたことがあったが、そうか、小沢さんがいた。「新宿駅構内時計のこと」という随筆では、太平洋戦下、下北沢の古本屋で中野重治『空想家とシナリオ』を買った思い出が書かれている。小沢さんは当時、中学生。その古本屋の棚には、梶井『檸檬』、田畑修一郎『鳥羽家の子供』があった、と記憶は鮮明だ。この本をしばらくカバンに入れて,歩きたい。
本日、晴天なり。至近の高校が卒業式となり、祭のような騒ぎとなるため、早々と退散。10時ちょい過ぎに西部古書会館へ。ゴンチチ「世界の快適音楽」を聞きながら。西部の即売会は買える時と買えない時が両極端だが、古書愛好会は買える時なり。20冊は買ったか。指に食い込む本の重さのうれしさよ。馬鹿か!
盛林堂へ寄り、補充しつつ、古書王子・小野くんとあれこれ話す。買ったばかりのフーコーに、西荻古書店の値段票があり。自分では剥がせそうになかったのを、小野くんに頼むと、ベンジンを巧みに使い、見事にゲット。晴れやかな気分で帰宅。
車内で、ユーチューブにアクセス。吉田拓郎1974年全国縦断コンサートの音源を発見。弾き語りによる「もうすぐ帰るよ」、レコードで音源化されていない曲、「ペニーレインでバーボン」の、レコード録音される前の、初期バージョンを聞いて興奮。