はや三月。空気が冷たい。
朝から連日、ひき続き、岩森・竹中「荻窪古本屋」対談に、手を入れ、整理し、いろいろ調べて補筆する。このところ、パソコン立ち上げ後しばらく、キーボードの中央当たりの文字ghyujなどが、なかなか反応しなくなり(今、だいじょうぶ)、カンカンカンと何度もキーを叩く、あるいは、漢字を訓で開いて打って合成など悪戦苦闘する。新しいキーボードを買ったのだが、ワイヤレスで、パソコン本体への同調のさせ方が、いくらやってもわからない。右腕手首のあたりが腱鞘炎になりかけている。困ったものである。
デスク近くにあるため、ときどき開く安岡章太郎『文士の友情』の、島尾敏雄追悼鼎談(吉行、安岡、小川国夫)を読んでいたら、島尾が奄美の海軍特攻隊隊長時代、島の人達に神格化されていた、という話が出てくる。小川曰く「隣の何とか岬にいる高射砲隊が米軍機を落としたんですって。でも、それは島尾さんの功績になっちゃった(笑)」。「島尾様の御利益で弾が当った」(吉行)というのだ。芥川賞を取る前、安岡は一カ月八千円ぐらいで生活していた。「吉行なんか六千円ぐらい」と安岡が言い,吉行が「そんな極端なこというなよ(笑)」と返す。なんともいい雰囲気だ。当時、公務員初任給が七千六百五十円ぐらい。今の感じだと月20万円ぐらいで生活していたことになる。山本周五郎が、送られてきた同人誌にみんな目を通し、島尾敏雄を早くに認めた一人、というのも意外であった。
『古本道入門』売り上げ、好調で、さっそく重版が決まった。うれしいなあ。東京堂では文庫部門2位とか。また見に行かなくちゃ。1位は「ビブリア古書堂」の新作。これ、読んだけど、面白かったんだ。太宰とシェイクスピア