秋の一日

朝、五反田。持っていった傘はけっきょくムダに。あれこれ買い込んでいると、月の輪さんが、目録に載せたすむーす別冊、魚雷くんのはすぐ売れたんだけど、岡崎さんの詩集が残ってる、と言われ、責任を感じて、サインを入れますよと二階へ上がり、奥の帳場でサインとイラスト。これで売れなかったら仕方ない。今日、いちにちあれこれ移動するので、買った本は宅急便を頼む。
そういえば、広島の古本屋を検索したら、「魚雷」という店を見つけた。店売りはしていないみたいだが。
齋藤美和編『編集者 齋藤十一』以外は、すべて今度の「一箱」に出す。「ノーサイド」の「読書名人伝」「黄金の読書」、尾崎一雄『蜜蜂が降る』初版帯、講談社『われらがブルーバード』など。
サンデー毎日終え、神保町を周遊。「コミガレ」で6冊。彷書月刊編集部へ立ち寄ると、三階への階段が、バックナンバーの山で埋もれている。「漫画少年」か「ガロ」の編集部みたいだ。ほんとうはもうできあがっているはずの最終号もまだ校了していない、という。「まあ、出ればいいんじゃない」と苦闘する二人に声をかける。皆川、目時のコンビ、尻をまくって逃げ出してもいいのに、本当にごくろうさま、だ。どうやら、明日の「西荻ブックマーク」、田村さんの出演、だいじょうぶそうだ。安心した。
東京堂ふくろう店で畠中さんと少ししゃべる。阪神、順位が決まったところで、一度トラキチの会をやろうと約束。
このところ、三つぐらいことが重なると、一つ忘れるというミスが続く。許容量が少ないのだ。この日も気付いたら、傘を彷徨舎へ忘れていた。和洋会でもちょこちょこっと買う。荷物が重くなる。
夜は大江戸線築地市場へ。浜離宮朝日ホールで、青柳いづみこさんのコンサートがある。招待を受けて推参。阿佐ヶ谷会のメンバーも来ていて挨拶。二階席のいちばん前で、大田黒元雄愛用の1990年製スタインウェイで綴るピアノと歌曲の夕べを聞く。前半が青柳さんのソロ演奏でドビュッシー、菅原明朗のピアノ曲を、後半はバリトン根岸一郎、ソプラノ釜洞祐子で歌曲という構成。8本も脚がある、小ぶりの工芸品みたいなピアノは、けっしていい音というのではないが、大柳さんのことばを借りれば「妙なる」響きがする。最後、モーツァルトの子守唄を会場の客も一緒に合唱して終わったが、その合唱が、あんまり音が揃ってきれいなのに感心した。「ビルマの竪琴」みたいだった。やっぱり、来ている客が違うんだろうな(たぶん音楽学校卒業生率高し)。
帰りも大江戸線。ほんとうなら、コクテイルへ寄って、というところだが、体内電池の残量少なく帰宅。 


さきほど音羽館から電話。やっぱり、田村さん、明日の出演難しいらしい。内堀さんとぼく、ということになりました。夏葉社さんにも『昔日の客』出版までの話を聞かせてもらおうと思う。