昨日、そして今日

okatake2010-11-14

昨日は午後、高円寺の即売会を覗いて西荻へ。好書会では、「ジャズ批評」1971年9月号を買う。この「アンケート欄」巻頭に、川崎市上小田中の中条昇平くん(15歳)が投稿している。もちろん、あの中条昇平だ。「ジャズは正に、ジュルジュ・バタイユが語る様な意味に於て『内的体験』である。」と始まり、ボードレールトリスタン・ツァラなどを援用しながら展開してく。これ、中学生ですよ。神懸かり的な早熟だ。
音羽館で北條くん、それに詩人で作家の平田「ラッキョウの恩返し」俊子さんと待ち合わせ。3人で飲みにいく。歩き出すと、平田さんが「岡崎さんって、背、高いのね」。これ、よく言われることで、どうもぼくはあんまり背が高くないというイメージがあるらしい。どうしてだろう。いつも背をこごめて古本を見ているせいか。いちおう180近くあるんだけど。
平田さんは同学で、同じ年に上京してきて、「飾粽」という著名詩人で作る同人誌に参加していた仲間。月に一回だか編集会議が西荻の某邸であって、そこで平田さんと初めて会った。ぼくはもちろん「ラッキョウの恩返し」で華々しくデビューした詩人であることをよく知ってて、「これが平田俊子か」と思ったが、声もかけられなかった。このころ、東京にも、東京人にも、「飾粽」に集う著名詩人にも、才媛たちにも、気後れして、肩をすぼめて小さくなっていた。平田さんにはそのときの印象があるのかもしれない。久し振りに会って、「態度、でかくなったわねえ」と言われ、それはその通りだ。ぼくのことをよく知っている仲間のなかで、ぼくの態度ははっきり言ってでかい。しかし、これがまた別のあんまり知らない人のなかに混じると、また小さくなってしまう。「内弁慶」なんですね。
北條、平田の会では、いろんな話が出たなあ。北條くんの編プロ時代の苦闘は、初めて聞く話。同じような思いをぼくもした。平田さんは、男二人の情けないバカ話を聞いてもらった。楽しい一夜だった。終電まぎわまで、二次会場へ移って喋ってた。
今日は雑司ヶ谷。創造館で古本講座。最初、一ケタしか客が集まらないと言われてたが、行ってみるとどうにかこうにか席がまばらながら埋まっていた。例によって例のごとし、という感じで古本について喋る。終わって、地元のちくまの青木くん、コウノと旅猫雑貨店を目指す。途中、雑司ヶ谷の住人になったばかりの退屈男くんとばったり。退屈君に連絡したいことあったので、なんだか向うから寄ってきてくれたような感じだった。新住所を聞く。コウノと旅猫へ。昨日、アド街で紹介されたとあって、すごい人が出入りし、ラッシュ状態。きれいな耳かきと、シュロのミニホウキを買う(写真)。金子から「坂まち通信 2」をもらう。へえ、こんなの出てたんだ。うれしい。
このあと、ジャングルブックス(単行本『古本道場』を買う)、かげろうを初踏破し、カフェ「キアズマ」で休憩。往来座で書き込みありの82年「ブック・レヴュー 東京を読む」を300円で買う。ここでコウノと分かれ、対面にある中華廣州酒家で遅い昼食。ナスと豚肉のカキ油炒めという定食を食べたが、ボリュームがあってうまかった。寝不足もあって、帰りの電車では珍しくクーカクーカと船をこぐ。そうそう、古本講座にはハニカミ高校生くんが来てくれて、名前を聞いた。最初名字、次に名前を聞いて、「どういう字を書くの?」と聞いたら、ある詩人の名前をあげ「○○の○」ですと答えたので、それはあまり人に知られていない詩人で、ぼくの本に出てくるので、ああ、ハニカミくんがぼくの本を読んでくれているんだとわかった。
雑司ヶ谷「地域文化創造館」の古本講座はあと2回ですが、次からでも、あるいは一回だけでも参加できるそうなので、時間がうまく合う方はお問い合わせください。